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第二章 晶の秘密
晶の家は心地よく、二人は毎日のようにお邪魔した。
始めのうちは、きなこに会いたいという気持ちからだったが、次第に晶にも会いたいという思いが芽生えて育った。
晶は穏やかで優しく、思いやりに満ちた心の持ち主だったからだ。
学校で理不尽に叱られて凹んでいても、晶に話すと溶けて消えた。
テストでいい点が取れなくて悩んでいても、晶に話すと流れて去った。
「晶さん、って、いい人だよな!」
「うん。優しいよね」
そんな慎と亮太に、晶はただ静かに微笑む。
「僕はただ、君たちの話を聞いているだけだよ。それはそうと……」
「ん?」
「何?」
少し身をかがめて、晶は小声で言った。
「僕がここに住んでる、ってこと、誰にも喋ってないよね?」
二人が顔を見合せうなずくと、晶はホッとした顔つきになった。
「よかった。これからも、秘密にしておいてくれる?」
「いいよ!」
「でも、なぜ?」
それは、その。
晶は初めて、言葉を濁した。
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