12 / 33
第二章・3
「俺、どうしちゃったんだろう」
食事をし、お風呂に入り、宿題も済ませた。
ベッドに仰向けになり、暗闇に目を凝らした。
見えてくるのは、亮太の笑顔だ。
Ωの亮太は、学校で浮いた存在だった。
あからさまないじめに遭うこともあった。
その都度、慎は亮太を助けた。
正義感の強い慎には、体の小さな亮太がいじめられることが、我慢ならなかったのだ。
体が大きく、αである慎がバックについていることで、亮太への嫌がらせは次第に無くなった。
「俺たち、親友になろうぜ!」
「うん、いいよ。ありがとう」
こんな言葉を交わしてから、ずっと一緒に過ごしてきた。
クラスが同じになるたびに、跳んで喜んでいた。
そんな亮太を見る眼が、どんどん変わってきている自分に、慎は気づいていた。
亮太の笑顔を見ると、胸が躍る。
亮太の手を握ると、血がぐるぐる巡る。
それが恋とは知らないまま、慎はいつしか眠ってしまった。
ともだちにシェアしよう!