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第四章・3
翌日から、原っぱには重機が入り、豊かなシロツメクサの生い茂る土地を掘り起こし始めた。
沼は埋め立てられ、岩は運び出され、晶の住んでいた家も取り壊された。
「俺たちの原っぱ、無くなっちゃうんだな」
「慎、僕すごく辛いよ」
「お父さんが言ってた。公民館や保育園ができるんだ、って」
「仕方のないことなのかな。でも、僕は本当に悲しい」
涙ぐむ亮太の肩を、慎はつかんだ。
「家に来いよ。きなこと遊ぼう」
「でも、僕、慎のお父さんに……」
「お父さん、今日は仕事でいないから。それに、亮太のこと嫌いだ、なんて言わせないから!」
だから行こう、と慎は亮太の手を取った。
(慎、晶さんに出会ってから、頼もしくなったみたいだな)
だったら僕は、晶さんみたいに優しい心を忘れない人間になろう。
慎が困ったり落ち込んだりしたら、傍で力になれるような人間になろう。
晶との別れは、原っぱとの別れは辛かったが、二人の心にかけがえのない力を植え付けていた。
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