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第四章・4

 中学校を卒業した日、慎は亮太に告白していた。 「あ、あの。亮太、お願いがあるんだけど」 「何かな?」 「き、キスしても、いいか?」  ちょっと待ってよ、と亮太は卒業証書で慎の頭をぽかんと叩いた。 「順番が、逆じゃない? キスの前に、言うことあるでしょ」 「え? あ! お、俺と、恋人として付き合ってくれないか!」 「もう……。やっと言ってくれたね」  慎は背を屈め、亮太は背を伸ばし、そっと温かなキスをした。 「でも、僕たち高校が別じゃないか。どうしていまさら、付き合おう、だなんて」 「別だから、だよ。他に好きな奴なんか、作るんじゃないぞ?」 「慎の方こそ」  中学も、二人はずっと共にいた。  一緒に勉強し、一緒に遊び、一緒に生徒会の役員もした。 「離れたくないな、慎と」 「離れなよ。学校が違うくらいで!」  ライン送る、手紙も書く、電話もする。 「時々なら、会えるだろ。だから」  必死に喋る慎の唇を、亮太はもう一度キスで塞いだ。 「信じてよ、僕を」  ずうっと、慎の傍にいるよ。

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