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第4話
タクシーに乗り込み、新堂を家に送るため、新堂の財布から身分証を取り出した。
「…はっ、いいとこ住んでんなおい…、まあ、あれだろ?立地は良くても家自体はボロボロとかだろ?なーに見栄張っちゃってるんだか」
「お客さん、着きましたよ。」
「ありがとうございます…って、え?」
新堂の家に着き、タクシーから下りるとそこにはバカでかいタワーマンションが建っていた。
「は?おまっ、こんなとこ住んでんのか、嘘だろ、新米のお前どころか俺の給料でも無理だっつーの、どこから金湧いてくるんだよ」
「ん〜」
「おい、何階だ?」
「うえ、いちばん、うえ」
「え?最上階?」
「ん〜」
まじかよ…
会話ももまともに出来ないほど潰れているのに、その顔すらも整いすぎて腹が立ち、このまま道路に放り投げたかったが、タワマンの最上階を見てみたいという高校生並みの好奇心に負け、家まで行くことにした。そうだ。この俺がここまでしたんだ。なんとしてでも新堂の弱点を見つけなければならない。
新堂を担ぎあげ、ポケットから鍵を取り出し、何とか家に入り、1人用とは思えないほど大きなベッドへ投げた。
「うーん、痛いです、課長」
「うるせぇ、ここまで大嫌いな後輩を運んだ俺に感謝しろ。」
そうだ、もう三十路への道が見えてきているこの俺が、細身とはいえ180もある大男をここまで運んだ俺は、なんて優しいんだ。
「水…持ってきてください。」
「はっ…ふざけんな、もう疲れてるんだよ、こっちは!水くらい自分で持ってこいよ。」
――「持ってきてください」
「うっ…い、いやだよ、俺はもう帰る」
威圧感のある低い声が部屋に響き渡り、一瞬戸惑い、言葉に詰まった。
…なんだコイツ、、急に…一旦今日のところは帰ろう、、弱みを握るのはまた今度だ
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