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第16話
それからお隣さんの付き合いが続いた。俺とコウちゃんの間には何の変化もない。
そして季節が巡り巡って桜の咲く時期、コウちゃんは地元を離れた。
「それじゃあな伊織」
俺の頭に手を乗せ、笑ったコウちゃんの笑顔を忘れない。コウちゃんがここからいなくなってしまう。それが悲しくて俺は泣いた。
大好きな人が遠くに行ってしまう。二度と会えないわけではない。けど、俺にはそんな気さえもしたんだ。
コウちゃんがいなくなってからの俺は、心にぽっかりと穴が開いたような感じだった。
遠く離れてしまっても、俺はコウちゃんが好きなんだと実感する。
いつか俺が大きくなったらコウちゃんに好きだともう一度言おうと思った。
けどその思いと裏腹にコウちゃんが結婚したとおばさんや母さんから聞いた。その時には俺は中学卒業したばかりだった。だから結婚の意味もちゃんとわかってるし、コウちゃんが当時の彼女とキスしていたのを見た以上にショックを受けた。
俺の想いは二度と届かないのだと実感して、コウちゃんと別れた時以来の涙を流した。
でも、それも二年で終わったのだと知った時、正直嬉しかった。しかも地元に戻ってくると言うのだから、普段はすがりもしない神様とやらにお礼をいいたい気分だった。
これからはずっとここにいる。
だから絶対、時間がかかってもコウちゃんと恋人同士になれるように頑張ろうと思った。
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