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第21話
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必至に悶えるコウちゃんは本当に可愛かった。年上の男の人に可愛いって言うと、怒るだろうから言わないけど、でも本当に可愛かった。
実際にコウちゃんが押しに弱いのは一昨日一緒に寝た時にも感じたし、その前にも――――まだ俺が八歳の時――――感じてわかっていた。だからこれは悠長に構えるよりも、自分から押した方が効果的だと思った。
コウちゃんが風呂に入ったのは本当に狙った通りになったなと我ながら思う。だって、俺の事、本当に警戒してるなら風呂に入るときだって何かしらと俺が入らないようにするのに、コウちゃんはそれをしなかった。
フェラをした時の喘ぎ声やとろんとした目元、イッた時の虚ろな瞳にゾクゾクいたし、正直このまま襲いたかった。けど最後の一線だけはコウちゃんの許しがないとダメだ。フェラもアウトかもしれないけど、でもコウちゃんはその場で怒ったりしなかった。怒れないよね?だって確実に俺で感じてたんだし。
コウちゃんの事を思い出すだけでドキドキが止まらない。
風呂から上がるとコウちゃんはソファにもたれて呆然としていた。もちろん俺と目を合わさないのは予想してた通りだ。だから傍に言ってちゃんと謝る事にする。
「ごめんねコウちゃん。ふざけたわけじゃないんだよ……」
「……あぁ……」
目元を赤くしたままこっちを見ない。だけど俺はショックは受けてない。むしろ照れているコウちゃんが可愛くて仕方なかった。
「やっぱ、怒ってるよね?」
「…あ、当たり前だろ?」
そう言って俺を睨んできたコウちゃん。でも目元が赤く少し潤んでいた。その表情はいろいろとヤバいなぁとも思いつつ、高校生特融の衝動に襲われないように頑張って理性を制御した。
「ホントに……ごめんなさい」
「うっ……わかったから……もういいよ……」
精一杯の悲しい表情にコウちゃんは怯んだ。こういう所はホント甘いなぁ……
「今日は俺ここで寝るから。コウちゃんは部屋に行きなよ」
「えっ?」
「だってコウちゃん。俺の顔見たくないよね?」
「別にそこまでは……」
「いいから。ねっ……」
「わ……わかった……」
起き上がったコウちゃんはそのままリビングを後にして二階にある自室へと向かって行った。
少しでもいいから、俺の事、好きになってくれたらいいな……
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