62 / 63

ふたりのゆめ-3

「久々にヤルとかなり腰来るな……」 「そう?」  セックスが終わって二人で狭いベッドに横になっていた。 「お前は入れる方だからいいけど、俺は入れられる方だから何かとくるんだよ!それにもう歳も歳だしさ」 「歳って言ってもまだ三十一じゃん」 「もうだろ!はぁ……マジおっさんになったわ」  詮無き事をぼやいても仕方ないのだが、伊織とセックスすると嫌でも歳を感じる。この代償は翌日まで引きずるんだが。 「俺は全然コウちゃんの事、歳だなんて思ってないよ」 「ありがとよ。あぁ、体力作りを真剣に考えないといけないな。ジムにでも通うかな?」 「相変わらずコウちゃんはこうして一緒にいても色気ない事ばっかり言う」 「男に色気なんてねぇよ!俺そんなワイルド系ちょい悪おやじじゃねーんだし!」 「そうでもないよ。キスしたら目をとろんとさせて、身体中を愛撫すると可愛くて俺の理性崩壊させる声出すし」  そう言いながら伊織の手つきが妖しく俺の身体を撫でた。 「ちょ、伊織!」 「はぁ!早くこっちに戻ってコウちゃんと一緒にいたい!」  このままセックスか?と思うと、伊織は俺にしがみつくようにして抱きついてきた。 「お前って、ホント俺の事好きなんだな」 「そうだよ。コウちゃんもでしょ?」 「あぁ。当たり前だ!」  満足した伊織の唇が重なる。すると伊織は真剣な顔をして俺をじっと見ていた。 「どうかしたか?」 「ねぇコウちゃん。俺が卒業してこっちに戻ってきたら一緒に暮らそ」 「へっ?」 「もちろん卒業したばっかで金もないだろうけど、俺もバイトでそこそこ貯めてるし、少しは足しになると思う。初めは迷惑かけるかもしれないけど、それでもいつかコウちゃんの負担にならないようにするよ」 「ば、馬鹿!金なんて心配すんなよ!それにお前こっちで就職すんのか?」 「そうだよ。こっちは工業系の技術職はいつでも欲しがってるからね。だから就職するならこっちだろうし、何よりもコウちゃんと一緒にいたい。もう離れて暮らすのは嫌」  愚痴らしい愚痴なんて今まで聞いたことなかったが、伊織の口からそんな事を言われ、俺の涙腺がちょっとやばくなってきた。 「だからさ、俺がこっち戻ってきたら一緒に暮らそうよ」 「お、俺でいいのか?」 「もう!何度も言わせないでよ。コウちゃんじゃないと嫌だよ。一生を添い遂げるのはコウちゃんだけでいい」  なんだかとても嬉しくなってしまって、俺は伊織の背に手を回して抱きついた。

ともだちにシェアしよう!