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第2話 、銀世界
……朝日が、眩しく光輝く 町並み…… 。
…‥降り積もる雪に包まれ、 銀色に溶け込んでいる街を、
陽光が、キラキラとあたりを照らす……
外気は、人々の吐くその白い息を、サーッと冷気に変えてしまうが、
そんな中、光の輝きは、少しでもそれを暖かく和らげようと、外気に立ち向かってくれている……‥ 。
「 あッ、 ーー 痛ッ 、!! 」
「 あ~ッ 、済みませ 〜 ん、! 」
智樹は、100円ショップの、入口横に立て掛けた、脚立の一番上から、下を通りがかった、店から出て来たばかりの、買い物客に、
お詫びの声を掛けた―――
この日の智樹は、開店早々、脚立の上にあがり、正月用のデコレーションを
手掛けていたのだが、指が、寒さでかじかんでしまい、
手にしていた飾り付けを、うっかり、脚立の横を通りすぎる
男性の頭と、レザージャケットの肩の上に落としてしまっていた。
「 は 〜 い 、これ ! 」
「 あっ、ありがとうございます ーー 」
男性はそれほど怒る風でもなく、その飾り付けを、
智樹の方へ、掲げてくれている………
お愛想の顔を向けながら、智樹は、それを受け取り、
その男性の方を振り返る、そして更に顔を見直し、見詰める>>
( わッ ! !、僕の タイプーー ! )
駐車場へと向かう男性の、陽光に照らされたその後ろ姿を、
目で追いかけながら、智樹は願望を募らせていく――
( 何の仕事をしている人なのかなぁーー? 、あんな人が恋人だったらなぁ 〜 )
…………………………
………………
…‥…智樹は、この麻生 ( アザブ) の100円ショップに入って、まだ3日目。
いろんな事を覚えている初期の段階なのだが、
それでも、生活の糧を得たので、一安心している―――
住まいのほうは、入居出来ることになったアパートが、
義兄の友人がオーナーのアパートで、麻生にあり
この店から、1Kⅿ程の所だ。
アパートの、契約が決まった翌日には、
智樹は、麻生界隈を歩き、アルバイト募集の広告主へあちこちと連絡を入れ、面接をしてもらい、どうにか、採用に漕ぎ着けた。
新居に入るまでは、姉の家から、東西線と南北線、
二本の地下鉄を使って通うが…‥…
それでも、もう少しで、住まいと仕事を徒歩で結ぶ、
麻生での新しい、生活がスタートする……楽しみにしていた自分だけの生活が………
( それまでは、我慢>>我慢>>ラッシュアワーもいい経験 ーー
2週間もすれば、これも終わるし ーー ) …… 智樹は毎日、自分に、言い聞かせながらも、嬉しさで、心の中を、弾ませていたーー
……………
……大晦日の今日、午後6時には、仕事が終わって、
姉の家での年越し――
今頃、姉は、今晩から正月が終わるまでの、
ご馳走作りで忙しいに違いない。
あわただしく、動いている姉の姿が、目に浮かんでくる―――
智樹は、普通の家庭の正月さえも、味わった事がないので、
姉がこしらえてくれる、正月料理を味わってみたく、楽しみにしている。
・・・けれど、この姉には、昔から思ってた疑問が、浮かび上がってくる・・・
( ーー 姉はほんとうにあの母親の子なんだろうか ーー )
( ーー あの人の娘が、こんなに優しいなんて信じられない ーー と )
……………
……銀色一面の札幌 …… 函館とは、比較にならないほどの雪が、
降り積もり、寒さも強く、一年の何割かは、雪と氷に閉ざされる―――
これから、この街で、生きる事を決心した智樹は、今までの
17年間の事は、この豪雪のなかに、埋もらせながら、忘れ去ってしまおうと
決心する―――
そうしないと、自分は人間嫌いのまま、人生を無駄に費やすのではないかと……
……動物には、盲目的な愛情を示す智樹だが―――
それは、自分を傷つけないものたちには、心を許せるからで、
望むことは、ただ、小さな安らぎが、欲しかっただけ―――
自分を取り巻く人々が、己に攻撃してきたり、傷つけたりしてこなければ、
仲良くもし、笑い合う事も出来る―――
更には、 恋愛もし、親友を作ることも可能だろう………
そんな自分の願いを、叶えてくれる人達に、
早く逢ってみたい―――そして、おのずと自分の生き甲斐も、
解ってくるはずだと、自分自信に言い聞かせながら、
智樹は、自分を拾ってくれたこの店の、正月の飾り付けを、
天命を授かったかの如く、一生懸命に、その手を休めることなく、
続けていった―――……………。
……………
……………
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