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第5話 、Ugly boar(アグリーボア)の会

着メロが鳴り出すーー スマホを見ると、登録してから、まだ2日しか経っていない 『 重則さん 』の文字が、画面に写し出されている―― 「 もしもし 〜 、智樹でーーす、」 「 こんにちわ 〜 、今、大丈夫ーー? 、」 重則の、明るい声が聞こえる。 「 は〜い、全然 OK でーーす。この前は、ありがとうございましたーー 」 「 アハハ 、商売っ気があるねーー ところでさ 〜 、この前言った、グループの飲み会の事だけど、 智樹君、仕事は日・月、連休って言ってたよね ーー だったら、日曜の夕方からど〜お ? 、 こっちの4人は、OKだからさーー 顔の知らないメンバーは、土曜の夜、紹介するよ>>皆んなで行くからさ ーー 夜のバイト先にーー 」 「 あの~、僕、ダークスーツ持ってないんですけど ーー 」 「 あ~ッ、アレね、智樹君はゲストだし、それに10代だから 気にしなくていいよーー 」 ………メンバーが集まるその土曜は、日曜へと、曜日が変わった午前2時過ぎ頃で、ゴールデンウィークまで、あと10日ばかりの日。 智樹は、カウンターに座った30才位の居酒屋をやっている男性の前に立ち、 接客している。( この男性からも声が、掛かっているのだが )  店は6割ぐらいの混み方で、まあまあの、ゆったりとした雰囲気 …… さーッと入口ドアが開き、ゾロゾロっとスーツ姿の人達が入ってくる。 「 いらしゃいませーー 」  ママが嬉しそうに声を出して、ボックス席の2つを1つに広げるように、 ちぃママと他のスタッフに支持を出す―――  席が出来て、店のスタッフを含めた皆が座ると、智樹も入れた合計7人の多所帯。 ――三咲さんが主催するグループ、『Ugly boar(アグリーボア)』のメンバーの、 初対面の二人を、智樹は、チラッと観察する……… ( ーー皆んな、いい男なんだーー >>でも、やっばり 一番タイプは三咲さんかなぁーー ) ………アグリーボアは、会長が、飲食業33才の三咲、 2番手は、商事会社勤務で30才の重則、誠司(セイジ)26才はエアロビのインストラクター、遼(リョウ)は25才のホテルマン>>というこの4人が、メンバーでーー 主な活動は、飲み会が殆どだが、たまに、温泉に行ったり、車で遠出したりと、 動き周る事もある。メンバー同志で、つきあってる人はいない。 只、三咲と重則は、2年近く前、三咲が10年間付き合っていたパートナーを、ある事情でこの世から失ってしまった傷心の時期に、 たまたま知り合い、2〜3ヶ月付き合ったが、結局別れる事に……… それは、三咲本人が、亡くなった元恋人を忘れ難く、重則に対して それほど積極的な態度を見せなかったからだ……… だが、二人は別れても、気が合い、酒を飲むのも二人一緒が多く>> それだったら、いっそ友達の会をつくろうか>>という話になり、今に至っている。 現在、三咲はフリー、重則は同じ年ぐらいのバイセクシャルの人と 付き合っていて、重則の実家で一緒に暮らしている。 誠司と遼は、三咲と重則が、飲みに行ったゲイバーで知り合ったメンバーで、 見栄えのいいのを理由に、三咲が声を掛けたのだ。二人ともフリーで、 誠司は遊び人、遼は現在恋人募集中である。 …………… ………智樹のほうは、、父親の名前もはっきり分らないような家庭で育ち、ましてや母親や兄から虐待らしきものを受けており、精神的には、年の近い人より 少し離れた保護者的な人を求めているのだろう――― その結果、このグループの中でも、一番年上の三咲がいいと 心のなかで決めているーー でも、今、このアグリーボアの、宴会の席に、チョコンと座りながらも、 智樹は今一つ気分が晴れなかった>> ( ーー自分に声を掛けてくれるのは殆どが重則さんで、 あとは誠司さん、遼さんがチョコっと、一番肝腎の三咲さんは、ほとんど見もしないし、喋りかけてもこない>> ーーこれってなんかなぁ>>どういう事 ??ーー ) ……‥三咲の気持ちを推し量れないまま、智樹は、 明日は、どうなるのかと考えあぐねていたーー が、その時、重則の目線が智樹に向いて>> 「 ーー智樹君、明日、6時大丈夫ーー ?東急イン分かるかなぁ〜 ⁉ 1階に『サウスウェスト』って、広いレストラン喫茶があるからさぁーー まずは、そこに集合って事でーー 」 「 ーーはい、大丈夫です>>けど僕行っていいのかなぁーー ? 」 智樹は、小声で応えて、祈るような目線を、少しためらいを含んだ 微笑みの顔と共に、重則のほうへと向けていた ……………

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