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第15話
「……ン、ぅ……」
背中を撫でられただけで、敏感に反応してしまう。キスの最中なのに照れくさくて、ふふっと笑い声を漏らせば、朔ちゃんも唇をゆるりと曲げ、腰や臀部にまで手を這わせてきた。ひくりと身体がこわばり、吐息を乱していると、ふいに唇を解かれる。うっすらとまぶたをあげれば、ますます熱く潤んだ視線が俺の双眸を射抜いていて、胸がとくりと高鳴った。
「……馨、舐めて」
「ん……」
俺はうなずき、朔ちゃんの膝から降りると、彼の足下にぺたりと座り込んでワンピースの裾をたくしあげた。
ガーターベルトのデザインに合わせて、朔ちゃんは女物の黒い下着を履いていた。
布面積が小さい花柄のそれは、彼の昂ぶった一物をまったく隠しきれておらず、亀頭すべてと竿の一部がはみ出していた。下着など、あってないようなものになっていた。布のうえから性器に唇を這わせれば、朔ちゃんは吐息まじりの小さな声をこぼし、ひくっと太ももに力を入れた。
かたちを確かめるように太い茎を食みながら、鈴口から露のように浮き、垂れ落ちてくるカウパーの臭いを嗅ぎ、そしてその滴をぺろりと舐める。ほんのりとしょっぱくて、クセはあるけど、好きな味だった。しばらくそれを続けたのち、竿同様、下着に収まりきっていない陰嚢をぱくりと口に含んで、飴玉を舐めるようにころころと舌で転がす。朔ちゃんは控えめに、けれども気持ち良さそうに喘いだ。
「……ぁっ……はぁ……」
気分が良かった。もう片方の睾丸も口で弄び、唾液でべとべとになった方は手で優しく愛撫すれば、朔ちゃんは頭を撫でてくれた。フェラチオで気持ち良くなっている時の彼の癖だ。加えて、先端からは絶えず先走りが溢れ、下着の中の茎は窮屈げに震えている。血管が浮き出ているのが布越しでも分かり、口腔にどっと唾液が溜まった。
口の中に精液をかけてほしい。一滴残らず飲み干したい。海水を薄めたような味の白濁の粘液を喉にまとわりつかせ、ゆっくりと味わって嚥下したい……。
けれどもそれ以上に、これで俺の身体を容赦なく抉ってほしかった。この熱で、質量で、臭いで、体液で、散々汚してほしかった。これまでの行為で彼の名残がたっぷりと染み込んだそこに、もっともっと塗りつけて色濃くしてほしかった。
「――……この体勢だと、お前の腰が揺れてんのがよく見えていいな」
うっとりとした声色で、朔ちゃんは愉しげに言った。「俺のちんぽフェラして、興奮してんだ?」
「ん……、ふっ……」
そうだと答えるためにペニスから口を離すのが惜しかった。下着をずらしてゆっくりと亀頭を吸い、口内に誘(いざな)えば、朔ちゃんは上擦った声をあげ、それから色っぽく笑った。
「あぁ……すげぇ、いい……」
「んっ……んぅ……」
雁首、裏筋。朔ちゃんが悦ぶ部位を唇と舌でぬるぬると愛でる。性器がさらに太くなる。彼が言うように、俺の下半身はどうしようもなくうずうずとしていた。じっとりと熱くて、物欲しさのあまり焦れったくて、泣きそうになるくらい切なかった。口の中からでろでろに濡れたそれを抜き、その先端にちゅっとキスを落とす。そして顔を上げ、朔ちゃんを見た。
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