20 / 22
第20話
「あああっ! あーッ! いやっ……あぁ、ン……!」
朔ちゃんは乱れ狂う俺に構うことなく、ガツガツと最奥を貫き続ける。快楽の火花は勢いを増し、全身を支配していく。
「馨……目ぇ開けろ……」
意識がぼうっと霞みがかる中、朔ちゃんの雄臭い声が耳に届く。ぎゅうっと瞑っていた目を言われた通り開ければ、恍惚とした表情で朔ちゃんは俺を見つめていた。
「……やっぱ、いつもより興奮してんな」
「あぅっ、……はぁ、ッ……あ……!」
「お前のケツ、ほら今もぎゅうぎゅう締めつけてくる……オンナの俺にちんぽ突っ込まれるの、好き?」
……それはどうだろう。まともに機能しない思考を働かせてみるが、首を傾げたくなる。潤んだ視界を占める朔ちゃんの端整な顔には、ウォータープルーフの化粧品が使われているのだろう、汗をたくさんかいているのにメイクはそれほど崩れてはいない。誰がどう見ても化粧した男だが、オンナの色気を感じないこともなかった。
……けれども、抱きしめた彼の身体は、同性からは羨まれ、女性からはうっとりとされるほどにムキムキだ。腕も脚も下腹部も尻も毛むくじゃらで、男らしさしか感じない。謂わば今の彼は、女装したゴリラだった。
俺はやっぱり、いつもの朔ちゃんが好きだなと思う。格好良くて逞しい彼に、恥ずかしい言葉で責められて抱かれるのが、いちばん燃える気がする。
「ほら、もっとイケよ」
掠れた低い声が、いやに色っぽかった。
「もっともっと、俺にヨがれ……俺のちんぽでおかしくなって、俺のことだけ考えろ」
言われなくても、とっくにそうなってる。ずっとずっと、朔ちゃんのことしか考えてない。朔ちゃんのことばかり想っている。
「……ん……ぁ……、朔、ちゃん……」
律動が荒々しくなる。肌と肌がぶつかる音、ローションと精液が掻き乱される音、ベッドがギシギシと軋む音が耳のなかに氾濫する。朔ちゃんは小鼻を伸縮させ、口をいびつに開けたまま、俺の瞳を溶かさんばかりの熱い視線を注いでくる。
……あぁ、灼熱に浮かされる。頭が馬鹿になっていく。
「あんっ……! あ、ぁ……きもち、い……朔ちゃんのおちんちん、もっとほしい……あぁんっ……」
「かおる……」
「いっぱいついてっ、……もっとぐちゅぐちゅして、たくさん精子ちょうだい……足りない、たりないよぉ……!」
この期に及んで羞恥心などなかった。タカが外れた俺は、脚を大きく広げ、大胆に腰を揺らし、こんな時でないと口にできない言葉の数々を嬌声に混ぜ込んで、朔ちゃんを求める。
これが、俺の本性だ。呆れるくらいに淫乱で、セックスが大好きで、お腹をザーメンでいっぱいにされて満足する雌猫だった。
俺の欲求を受け、朔ちゃんは歪んだ表情のまま笑い、抽挿をさらに激しくする。
「たまんねぇ……っ」
「アッ! あんっ……はぁ……さく、朔……ちゃ……」
「上品な顔がすけべなことになって、綺麗な声ではしたないこと口走って……どんだけえろいんだよっ……!」
朔ちゃんが悦んでくれている。すごくすごく嬉しい。ガクガクと揺さぶられ、自らの陰茎でペチペチと下腹部を叩かれながらも、俺は彼の唇に唇を擦りつけた。技巧も何もない、不恰好なしゃぶり合いをしながら、俺は素直な想いを紡いでいく。
ともだちにシェアしよう!