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第20話

「あああっ! あーッ! いやっ……あぁ、ン……!」 朔ちゃんは乱れ狂う俺に構うことなく、ガツガツと最奥を貫き続ける。快楽の火花は勢いを増し、全身を支配していく。 「馨……目ぇ開けろ……」 意識がぼうっと霞みがかる中、朔ちゃんの雄臭い声が耳に届く。ぎゅうっと瞑っていた目を言われた通り開ければ、恍惚とした表情で朔ちゃんは俺を見つめていた。 「……やっぱ、いつもより興奮してんな」 「あぅっ、……はぁ、ッ……あ……!」 「お前のケツ、ほら今もぎゅうぎゅう締めつけてくる……オンナの俺にちんぽ突っ込まれるの、好き?」 ……それはどうだろう。まともに機能しない思考を働かせてみるが、首を傾げたくなる。潤んだ視界を占める朔ちゃんの端整な顔には、ウォータープルーフの化粧品が使われているのだろう、汗をたくさんかいているのにメイクはそれほど崩れてはいない。誰がどう見ても化粧した男だが、オンナの色気を感じないこともなかった。 ……けれども、抱きしめた彼の身体は、同性からは羨まれ、女性からはうっとりとされるほどにムキムキだ。腕も脚も下腹部も尻も毛むくじゃらで、男らしさしか感じない。謂わば今の彼は、女装したゴリラだった。 俺はやっぱり、いつもの朔ちゃんが好きだなと思う。格好良くて逞しい彼に、恥ずかしい言葉で責められて抱かれるのが、いちばん燃える気がする。 「ほら、もっとイケよ」 掠れた低い声が、いやに色っぽかった。 「もっともっと、俺にヨがれ……俺のちんぽでおかしくなって、俺のことだけ考えろ」 言われなくても、とっくにそうなってる。ずっとずっと、朔ちゃんのことしか考えてない。朔ちゃんのことばかり想っている。 「……ん……ぁ……、朔、ちゃん……」 律動が荒々しくなる。肌と肌がぶつかる音、ローションと精液が掻き乱される音、ベッドがギシギシと軋む音が耳のなかに氾濫する。朔ちゃんは小鼻を伸縮させ、口をいびつに開けたまま、俺の瞳を溶かさんばかりの熱い視線を注いでくる。 ……あぁ、灼熱に浮かされる。頭が馬鹿になっていく。 「あんっ……! あ、ぁ……きもち、い……朔ちゃんのおちんちん、もっとほしい……あぁんっ……」 「かおる……」 「いっぱいついてっ、……もっとぐちゅぐちゅして、たくさん精子ちょうだい……足りない、たりないよぉ……!」 この期に及んで羞恥心などなかった。タカが外れた俺は、脚を大きく広げ、大胆に腰を揺らし、こんな時でないと口にできない言葉の数々を嬌声に混ぜ込んで、朔ちゃんを求める。 これが、俺の本性だ。呆れるくらいに淫乱で、セックスが大好きで、お腹をザーメンでいっぱいにされて満足する雌猫だった。 俺の欲求を受け、朔ちゃんは歪んだ表情のまま笑い、抽挿をさらに激しくする。 「たまんねぇ……っ」 「アッ! あんっ……はぁ……さく、朔……ちゃ……」 「上品な顔がすけべなことになって、綺麗な声ではしたないこと口走って……どんだけえろいんだよっ……!」 朔ちゃんが悦んでくれている。すごくすごく嬉しい。ガクガクと揺さぶられ、自らの陰茎でペチペチと下腹部を叩かれながらも、俺は彼の唇に唇を擦りつけた。技巧も何もない、不恰好なしゃぶり合いをしながら、俺は素直な想いを紡いでいく。

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