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第4話

「九份に似てるかな? 台湾の」  クリスが力説していたコミックスに出てくるピエスドールはどちらかと言えば、イタリアのフィレンツェやクロアチアのドブロブニクのような赤い屋根が犇めき合う町だったが、この町はアジア的で、遠くに見える人々の服装は着物や着流し、ローブ、男性でもロングスカート風の衣装を着ている等、オリエンタルだった。 「って、言葉は通じるのかな?」  一応、アーサーは英語と日本語を話せるし、相手の言っていることも理解できる。だから、夏迫やクリスにも日本語で話すのは問題なく、会話するのも難なくできていた。  だが、ここは明らかに日本ではないし、日本語が通じると思えない。 「まぁ、クリスがいつか言ってた『異世界では何故か日本語が通じる理論』が通じたら良いけど」  そして、アーサーは覚悟を決めると、誰かに話しかけようとした。 「これは驚いた」  だが、アーサーが話しかける前に、アーサーの耳には男の声が聞こえる。 「かようなところで、天使サマに引き合わせられるとは……」  男の声が聞こえた方へアーサーは振り返る。  黒地に花を華美にならない程度にあしらったローブ。それに、右目が隠れるように黒い頭巾を被り、それ以外の箇所は布と包帯で覆われていて、1度見たら、忘れられない風貌の男だった。

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