18 / 38
夜明けの華 17
ガチャリとノブを開く音が聞こえ、緩んだ瞳のままドアへと顔をむけると、こちらを凝視している肇の姿が見えた。
目と目が合った瞬間、スイッチがリアルに戻る。み、見られた、見られた。子供に、こんな姿を。今更のようだが隠さなければと慌てて毛布を引っ張り頭から被ってみたものの、心臓の音はバクバクと激しく音をたてて止まらない。いや止まったら困るけれども。
「肇くん、話ならあとで聞くから、部屋に戻ってもらえるかな」
すっぽりと被った毛布から頭だけを出して必至に平静を装っても、我ながら滑稽すぎてどうにもならない。失敗した。こんなところで欲情した自分の愚かさ。穴があったら入りたい。肇は固まったまま、微動だにしない。困った。
数秒後、肇が掠れた声を漏らした。
「原田、あんた、尻穴でオナニー、してんの……?」
すげえ、と呟く肇の双眸は見開かれ、充血しているのがみてとれた。欲情にかられた視線に気付き、脳内で警笛が鳴り響く。まずい、非常にまずい。
「これは違う、ええと、とにかく……」
蓮がもごもごと言い訳を捻り出している間に肇はベッドへ近付き、あっと言う間にミノムシ状態の蓮の上に覆いかぶさるように跨った。
「原田……隠すなよ、見せろよ」
こちらに聞こえる程の音で、肇の喉がごくりと鳴った。どきなさいと言うよりも先に被っていた毛布を引き剥がされ、まるで丸裸にされたような羞恥を感じた。下着とズボンが半おろしで股間と尻が丸出しという、むしろ丸裸よりも恥ずかしい格好だ。こんな姿を子供に見られるなんて、威厳もなにもあったものじゃない。
「肇、これ以上ふざけるようなら流石に怒るぞ、毛布を返せ……あっ」
うつぶせにしていた身体を強引に剥がされ、仰向けの体勢を強いられた。肇の胸を両手で押し返そうとしても歯が立たず、右手首は肇の左手に押さえ込まれ、ベッドに沈められてしまう。
ともだちにシェアしよう!