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5 おまえだったら嫌じゃない〈2〉

 気が急いている克博に何とか床だけはやめさせ、ソファに移動させた。ふたりで並んで座り、ぎゅうぎゅうに抱きしめられながら、それでも手のひらがゆっくり背中を上下していると、気持ちは上がってくるものだ。 「ん……」  吐息が鼻から抜けると、克博の心臓がまた激しく暴れ出した。だけどいつまでも先に進もうとせず、唇が首筋に当てられながらあちこちまさぐってくるだけだ。 「なあ、俺が触ってもいい?」  待ちの体勢は慣れていない。かすかに頷くのを確認してから、彼の下肢に手を伸ばした。 「……うわ」  もうすでに存在感がずっしりとあって、下手すると暴発しかねない。朔也は触るのはやめて、先に彼のネクタイを外すことにした。  座っている彼の上に足を開いてのしかかる。着物の裾がぱっくりと割れて、太ももがちらちらと見え隠れする。 「うう……」  見たいけれど見たくない、とでも言いたげに克博は両手で顔を覆っている。可愛いやら可笑しいやらだ。 「何だよ。見ればいいじゃん」  しゅるっとネクタイを外して床に捨て、シャツのボタンを外しながら朔也はにやにやした。 「でも、すっっっごいえろいんですけど」 「そうかなあ」  小さなころから外で走り回ることが多かったから、どちらかというと肌は健康的に黒めだ。エロとはかけ離れててそれほどの魅力はないだろうに。  ズボンからシャツを引っ張り出して、上着と一緒に脱がせてからまた床に投げると、克博の素肌が露わになった。うっすらと筋肉がついていて、白くきめ細やかな肌をしている、彼の方がだいぶと色っぽいんじゃないか。ふわっと欲望が身の内を駆け上がってくる。  いやいや我慢しないと。衝動をそっと抑え込みながら、それでもちょっとくらいと思って唇を彼の肩に這わせ、ちらりと舌で舐めた。 「あっ、」  可愛い声を上げながら、戸惑ったように両肩を掴んでくる。朔也は興に乗って胸のすべすべの肌を手のひらで撫でながら、唇で首筋をたどった。耳のあたりでちゅっと音を立てて吸い上げる。 「っ、」  びくっと克博の身体が跳ねた。可愛い。だけど今日はこれくらいにしておこう。屈んでソファの座面の下にある引き出しを開ける。ローションとゴムを取り出すと、ゴムのパッケージを唇で噛んで彼に見せた。 「っあ、はい」  両手を差し出してきたのでぽとりと落とす。 「付け方は知ってる?」 「……はい、練習、して、きたので」 「ん」  恐る恐る言う克博に頷くと、朔也は腕を背後に回し、着物の裾を掴むと帯に挟んだ。こうすると裾が邪魔にならない。むき出しになった足に克博の目が固定される。 「はは、すげえ目、してんねえ」 「すみません」  ぱちぱちと瞬いて何とか気を静めているようだが、ベルトを外すと軽く腰を上げ、スラックスだけをとりあえず脱いでしまったら、下着の中でがっつり形を変えたものがあった。反り返っていて下着のゴムからはみ出しそうになっている。  思った以上に大きいけど大丈夫か。思わず腰が引けてしまったが、ここでやめるわけにはいかない。朔也は自分の下着を押し下げると片足ずつ抜き取った 「あの、僕にさせてくれませんか」  手のひらに高粘性のローションを垂らし、右手の二本指でぬるっと取る。久しぶりだって言ってるだろ。初めてのやつに任せられるか。おまえにはまだ早い。言いたい言葉を呑み込んだ。にっこり笑う。 「また今度な」  腕を後ろにして、背後からそうっと触れてみる。何年ぶりの感覚だ。どきどきしながら表面になすりつけ、指が摩擦なく動くようになると、会陰と穴の周囲をぐいぐいと揉んだ。柔らかくなってくると同時に、じわっと下腹部が熱を持った。 「は、」 「朔也さん」  甘くかすれた声で名前を呼ばれたせいで、首筋までかっと熱が上がってきた。これなら、いけないことも、なさそうだ。 「もう、ちょっと」 「じゃあこっち、触らせてください」  克博は力の加減ができないような手つきで着物の衿を掴むと、襦袢ごとぐいっと左右に開いた。あっけなく腹の下まで露わになる。 「……着物って無防備すぎませんか」  興奮を隠した声でつぶやきながら、唇が鎖骨に触れ、そのまま胸まで下りてきた。 「こんな不作法を許すのはおまえだけだよ」  穴の周りの筋肉をほぐすようにマッサージしてから、手のひらに残っているローションを掬いとり、今度はゆっくりと中に入れてみた。肌が粟立つほどの違和感が湧きあがり、軽く奥歯を噛む。  気持ちが悪い、が、何とか耐えられないこともない。内部をぐりぐりと探ってから、指を引き抜いた。これくらいならいけそうだ。  数度ローションを内側に塗り込んでから、引き出しから出したティッシュで指を拭い、克博の両肩に手を置くと、彼ははっとして顔を上げた。見上げる目が、ぎらぎらと光っている。  こんな顔もできるんだな。朔也は余裕ぶって唇の端を押し上げたが、心臓は速くなるばかりだ。大丈夫か。怖いわけではないが、浮き足立つ。いや、やっぱり怖いのか。 「付けます?」 「いいぜ」  こちらも緊張して見守る中、彼は震える指でパッケージを切った。そしてぎこちない手つきで下着を下げると、ごちごちに硬くなったものに被せる。四苦八苦しながら引き下ろして何とかゴムを装着させた。

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