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理不尽な恋 4(雪夜)※
「雪夜……もう挿れていい?」
夏樹の細くて長い指が、雪夜の前と後ろを同時に攻める。
後ろの一番いいところをピンポイントで刺激されて、すでに一回熱を放っている雪夜のソレはもうトロトロに濡れていた――
***
雪夜はこういう経験はしないで一生を終えるのだと思っていた。
そういう人が集う場所に行く勇気もないし、好きでもない相手とベッドに入るくらいなら、一人で処理する方がマシだ。
夏樹と付き合うことになった時も、ここまでは期待していなかった。
まさかノンケの夏樹が抱いてくれるとは思っていなかったからだ。
夏樹はなぜか男の身体にも抵抗がないようで、付き合い始めて1回目のデートでキス、3回目のデートでベッドに押し倒された。
予想外の出来事に、初めての夜はテンパりすぎてほとんど記憶にない――
***
「……っぁ……んっ……待って……っ」
夏樹に弄られてまた限界が来ている雪夜が涙目で制止しようとするが、
「ん?……だ~め。もうここは欲しいって言ってるよ?」
夏樹が雪夜の涙を舌で舐めとって、艶めかしく微笑んだ。
普段は優しくて人の良いイケメンなのに、ベッドの上では言動のひとつひとつに甘い色気を纏 い、しかもちょっと意地悪になる。
こういうことに耐性のない雪夜にとって、夏樹の愛撫は気持ち良すぎて怖い……いつもわけがわからなくなるくらい喘がされて、気を失ってしまう。
今日こそは一緒に……と必死に意識を保とうとしているのだが……
夏樹のモノが雪夜に入ろうとしているのを感じて、思わず夏樹の首に両腕を回した。
「あっ、やっ……ゆっくり……」
「わかってる、ゆっくりね」
もう何回も抱かれているのに、夏樹を受け入れる瞬間はどうしても緊張して身体が強張る。十分ほぐしてくれているので痛くはないのだが、夏樹のモノが立派すぎて怖いのだ。
同じ男なのに、なんでこんなに大きさに違いがあるんだよ……っていうか、あんなデカいのが俺の中に……なんて、信じられないっ!!
はっきり見てしまうと余計に怖くなるので、雪夜は未だに臨戦態勢になった夏樹のモノを直視したことがない。
緊張したせいか、雪夜の股間ではち切れそうだったモノがすっかり落ち着いた。
「ぅ~~~っ……」
「ほら、息止めちゃダメでしょ。こっち向いて、口開けて」
夏樹がフッと笑って一旦侵入を止め、首に回されていた雪夜の腕をポンポンと軽く叩いた。
雪夜が腕を緩めて顔を上げると、夏樹が顎を掴んで舌を絡めてきた。
唇や舌を甘く噛んで、唾液を絡ませて、上顎を擦られて……息ができないくらい濃厚なキスに頭がふわふわしてくる。
「っん……ふぁ……ん゛~~~~~~っっっ!!」
キスで力が抜けているところに、夏樹が一気に押し入ってきた。
グリグリと圧迫感が押し寄せて、目の奥がチカチカする。
「……っは……っ……ハッ」
「っ……大丈夫?」
雪夜が呼吸を整えるまで待って、夏樹がゆっくりと動く。
「あっ……はぁっ……ぁあっっ!!」
夏樹がグリッと雪夜のいいところを擦りつけた。
刺激が強すぎて無意識に上に逃げそうになるが、雪夜の行動を読んでいるかのように夏樹の手が腰を掴んで固定していた。
「ぁん……やっ……離し……っ!」
「こらこら、逃げちゃダメでしょ?……ね、ちょっと激しくしてもいい?」
夏樹が、雪夜の耳元で吐息混じりに囁く。
少し掠れた夏樹の声と吐息の熱を感じて、背筋から腰にかけてビリッと電気が走った。
「……はぁんっ……んんっ!」
可愛い……小さい声で夏樹が呟いた気がしたが、直後に両膝を胸に当たるくらい上に抱えられ、夏樹が体重をかけて覆いかぶさってきた。
それと同時に夏樹のモノがグッと奥まで身体を貫き、小さくヒュッと吸い込んだまま雪夜の吸呼が止まった。
息を吐くタイミングがわからない。
パニックになりかけた雪夜に夏樹が優しくなぞるようなキスをした。
ほっとした途端に呼吸が楽になる。
「よしよし、いい子だ……っそのまま呼吸 して……」
夏樹が雪夜の額にちゅっとキスをすると、少し身体を起こして徐々に動きを激しくしてきた。
「ひっ……っんぁああっ!……待っ……!」
「ごめん、ちょっと俺が限界」
「っ!?や……ん、そんな……はっ……んん゛っ……っ!!」
夏樹の余裕たっぷりだった顔から笑みが消えて、呼吸が荒くなり、欲情している雄の顔になった。
少し色が濃くなった瞳が雪夜を見下ろし、視線を絡め取る。
ぅ……わ……
こうなった時の夏樹は最高にエロイ。
見つめられるだけで下腹が熱くなってくる。
「はっ……雪……そんなに締めないで……っ」
「……ぁあっ……ぇ、っな……に……っ?」
「っ無意識か……っ……ははっ……なんでもない……っ」
「あんっ!んんっ……夏樹さ……っ……あっんンっ」
夏樹が動く度に、ベッドが軋み室内に粘着質な音と肌がぶつかる音が響く。
そこに混じる悲鳴のような啼き声が自分から発せられていることに衝撃を受ける。
夏樹さん、男の喘ぎ声なんて萎えちゃうよね……声、抑えなきゃ……
頭の隅ではそう思うのに、もう自分では制御できなくなっていた――
***
未だにセックスは慣れない。
夏樹に抱かれるのは気持ちが良い。
が、本来排泄のために使用すべきところに無理やり挿入しているので、やはり若干の違和感がある。
男同士なのだからここを使うしかないのはわかっているのだが、ゲイでもないのにこんなところにツッコまされている夏樹はどう思っているのだろう……と考えてしまうのだ。
でも、夏樹の昂った熱を直に感じることができるこの瞬間だけは、少なくとも夏樹も雪夜で感じてくれているのだと実感できて、苦しさや罪悪感から解放される。
「ぁあ゛…っも、イッちゃう……ぁあっ!!」
「ん……イッていいよ」
夏樹が腰の動きに合わせて、雪夜のモノもしごき始めた。
あ~もう、両方はダメだってばっ……
「……ぃや……だっ……ハァッん……また俺だけ……っ!!」
夏樹と一緒にイきたいのに、首筋を甘く噛まれた瞬間、何もわからないくらい気持ち良くなって、今日も雪夜は早々に意識をトばしてしまった――
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