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理不尽な恋 5(雪夜)

「……あったかい……」  温もりを求めて無意識に抱き着いたら、ぎゅっと抱きしめ返されてハッとする。 「ごめん、起こしちゃった?」  夏樹と目が合って、自分がまた最中に気を失ってしまったことに気付く。  恥ずかしさと申し訳なさとで顔が熱くなるのを感じた。 「ごごごごごめんなさいっ!!!俺またっ……あっ今何時ですかっ!?……うわ、もうこんな時間だ……すみません、シャワー借りますっ!!」  照れ隠しにガバッと起き上がって夏樹から離れると、急いでシャワーを浴びて服を着た。 「明日休みじゃないの?」  ベッドの上で片膝を立てて座る夏樹が、バタバタと動き回る雪夜をじっと見つめていた。 「休みですよ。夏樹さんは?」 「俺も休み。だからもっとゆっくりしていいのに」 「……でも、電車がなくなっちゃうから……」  夏樹の視線が痛い。  逃れるように伏し目がちにしゃべっていると、夏樹に腕を掴まれ、グイッと引き寄せられた。 「泊まっていけば?」 「あ……の……でも俺、何も用意してきてないし!明日もバイトあるし!だからそれはまた今度……あの……」 「先週もそう言ってなかった?それにバイトは昼からでしょ。……まぁいいけど。せめて髪は乾かそう、そのままだと風邪引くよ」  夏樹が小さくため息を吐くと、ドライヤーに手を伸ばした。 「……はい」  夏樹さん……怒った……かな?  夏樹の横顔がイラついているように見える。 「怒ってないよ。ちょっと残念だな~って思っただけ。今度はちゃんと準備してきてね」  雪夜の心の声が聞こえたかのように、夏樹はいつもの優しい笑顔で抱きしめてくれた。  あぁ……ダメだよ夏樹さん、そんなに優しくされたら俺―― ***

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