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理不尽な恋 6(雪夜)
夏樹と会えるのは金曜の夜だけだ。
一週間に一回、しかもたったの数時間。
晩御飯を食べて、夏樹の家に行って、セックスをして帰る。
これをデートと言っていいのか疑問ではあるが、雪夜にとっては夏樹と過ごすこの数時間が人生初の恋人との貴重なデートなのだ。
夏樹は平日も忙しい仕事の合間にメールや電話を必ずくれるので、寂しくは……ない。
そもそも、本当の恋人同士じゃないのにここまで頻繁に連絡をくれる夏樹は、本当に優しいと思う。
それに、俺たちは男同士なんだから、普通のカップルが行くようなデートスポットに行けるわけじゃないし……同性と付き合うということは、こんなものなのだろう。
と、自分に言い聞かせている。
その夏樹が、最近会う度に泊まっていくよう誘ってくる。
どういう意図なのかわからない。
雪夜がすぐに気を失ってしまうので物足りず、もっとヤりたいということなのか、それとも雪夜のことが好きだからもっと一緒にいたいとか……いやいや、それはないな。
……夏樹に好きだと言われたことは一度もないのだから。
可愛いとは言ってくれるが、好きだとか愛してるだとか……そんな本当の恋人に言うような言葉は一度も……ない。
そりゃそうだ。
俺たちは形だけの関係なんだから。
もちろん、雪夜からも言ったことはない。
だって、夏樹にとって雪夜は、脅して無理やり恋人になるように迫った男だ。
そんな雪夜に本気で好きになったなんて言われても、夏樹にしてみればいい迷惑だろう。
だから、雪夜はどれだけ疲れていても必ず帰る。
夏樹はめちゃくちゃ優しく抱いてくれるが、それでも最初の頃は身体がキツすぎて、途中の駅で降りてネットカフェで朝まで倒れていたこともあった。
大学の友人達がセックスの為に身体を鍛えると言っているのを聞いた時は冗談だと思っていたが……確かに体力がいる。
雪夜も友人に付き合って少し運動を始めたので、この頃は目が覚めるとすぐに動けるくらいにはなったけれど――
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