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理不尽な恋 14(夏樹)

 付き合い始めて雪夜を改めて抱いたのは3回目のデートだった。    夏樹にとってセックスは性欲処理でしかなく、相手に求められてすることの方が多かった。  でも雪夜の場合は、キスにしてもセックスにしても雪夜から求めてくることがなかったので、なんとなく夏樹から迫った。  一応付き合っている以上、雪夜ともしなければいけないという義務感のようなものもあったのかもしれない。  夏樹が襲ってしまったとは言え、それを盾に付き合うよう強要してきたくらいなのだから、雪夜はこういうことに慣れているのだと思っていた。  が、その考えはすぐに消えた。  夏樹に押し倒された雪夜は、瞳を固く閉じて、口唇を噛みしめ、明らかに怯えて震えていた。  男相手だし前戯は適当でいいか、なんて思っていたのだが、雪夜の様子を見て――   こんなに怯えられてるってことは……  あの夜、俺は一体どんな酷い抱き方をしたんだ?  と、えもいわれぬ罪悪感にかられた。  そして夏樹は雪夜を自身初じゃないかと思うくらいめちゃくちゃ丁寧に優しく抱いた。  その結果、今でもこうして触れたり抱いたりできているわけで、下手したら付き合ってるのに触ることすらできない状態になるところだったかもしれないのだ。   ***  雪夜は、誰かと付き合うのもセックスをするのも初めてだと言った。  雪夜の年齢にはもう遊び回っていた夏樹にとって、にわかには信じがたいことだったが、夏樹の言動に一喜一憂する雪夜の反応が新鮮で可愛く、いつしか雪夜と会うのが楽しみになっていた。  最近のベッドの中での雪夜は、まだまだ初々しい反応をするくせにやけにエロイので、そこらの女を抱くよりもよほど興奮する。  抑え気味の喘ぎ声や色っぽい表情……  もっと泣かせてぐちゃぐちゃにしてやりたいと思う反面、トロトロに甘やかせてやりたいとも思う。 「責任」という名の付き合う理由は、夏樹にとってはもうどうでもよくなっていた。  そもそも、今までの相手には、泊まって行って欲しいと思ったことなんてなかった。  朝まで一緒にいたいと思う時点で、もう雪夜のことを本気で好きになっていたってことじゃないか―― ***

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