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理不尽な恋が終わる刻 8(雪夜)

   あっけなかったな……半年間の恋人ごっこ。  真相を告げる前に夏樹が言ってくれた言葉に、もしかしたら、夏樹も雪夜に愛着のようなものが湧いてきたのではないかと期待したのだが……そうではなかったようだ。  結局、俺が一方的に好きになっただけだ――  騙して、本気になって、バレて、土下座して、振られて……  俺の一生に一度きりの恋は、思っていた以上にドラマティックだったな……  連絡先も写真も消してしまったけれど……思い出は俺だけのものだ。  ……夏樹さんの温もりも、匂いも、息遣いも全部覚えている。  きっと一生忘れることなんてできない……  雪夜は、ついさっきまで抱きしめてくれていた優しい腕を思い出して、自分で自分を抱きしめた。  人通りがなくてよかった……俺今めっちゃブスだ……  雪夜は次々と溢れ出る涙でぐちゃぐちゃになった顔を隠すこともなく、夜明け前の街をトボトボと歩いた―― ***

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