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理不尽な恋が終わる刻 11(雪夜)
拝啓、俺の親愛なる友人の佐々木様、相川様。
お元気ですか?俺は元気で――……じゃなくて!!
俺は確か二人と一緒にいたはずですよね?
二人と晩飯を食べに行こうって話をしていたところまでは記憶にあるんですよ……
そこから一体何がどうなってこうなったんでしょうか?
誰か教えてください。
できれば、今すぐにっ!!
***
ずっと身体が熱くて息苦しかったので、どうやら久しぶりに熱を出したらしい。ということはわかる……
でも……何で隣に……夏樹さんが寝てるのっ!?
雪夜が目を覚ますと、なぜか隣に夏樹の顔があった。
状況が読めない……
あれ、っていうか、これホントに夏樹さんなのか?
俺……夏樹さんとは別れた……よね?
それに、夏樹さんの寝てるところとか見たことないし……あ、睫毛長い……いやいや、そうじゃなくてっ……
なんで……これまだ夢?でもそのわりには、夏樹さんの温もりと腕の重みが……重みが……ちょっ、重っ……
「ん?……雪夜?」
雪夜がモゾモゾと身体を動かしたせいで、夏樹が眼を覚ました。
「ぁ゛っ……」
「……熱は?」
夏樹がチラッと雪夜を見ると、寝惚け眼で額と額をくっつけてきた。
「ん~……ちょっと下がったかな、良かった。……ふぁぁ~……」
ニコッと笑って額を離すと、腕を上に伸ばして大きな欠伸をする。
一瞬その仕草に見惚れてしまった。
寝起きからもうカッコいい……とか見惚れてる場合じゃないからっ!!
「なっ……ゲホッ」
勢い込んで声を出そうとして、咳き込んだ。
「あらら、急に喋るからだよ。水飲んで」
夏樹が身体を起こして水の入ったペットボトルを取ってくれた。
「っぷは……ぁ゛~……んん゛?」
喉を潤して声を出すと、自分の声じゃないみたいに掠れていた。
なんだこれ……
「なづ……ぎざ……」
「え、大丈夫?……だいぶ喉やられたな」
「んん゛……なん゛で……っ……」
聞きたいことがたくさんあるのに、ヒューヒューと喉から空気が漏れるだけで、ちゃんと声が出てこない。
「あ~もう喋らなくていいから。聞きたいことはだいたいわかるし。え~と……でもその前に……食欲ある?お粥食べられそう?」
夏樹がベッドから出て首に手を当て、少し顔を傾げながら雪夜を見た。
そういう何気ないアンニュイな仕草も色っぽい……
また見惚れていた雪夜は、夏樹に呼ばれて慌てて頷いた。
「じゃあ、お粥食べて薬飲もうか。話はそれからね」
そういうと、夏樹が台所に向かった。その後ろ姿を見送りながら、改めて部屋の中を見回す。
あれ、ここ夏樹さんの部屋だ。ということは……
自分が今さっきまで寝ていたこのベッドも、もちろん夏樹のベッドだ。
そして、雪夜が着ている服も……夏樹の部屋着だ。
わ~ブカブカだ……あ、夏樹さんの匂いがする……って、俺は変態かっ!!!
自分の頬を軽くビンタして正気に戻る。
それにしても……ますます謎が深まった……俺は一体いつここに……?
***
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