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どんなに暗い夜だって… 1-2(雪夜)

 昨夜、佐々木達と飲みに行って0時過ぎに帰ってきた雪夜は、家の扉に違和感を覚えた。  一人暮らしを始めた時、近所で空き巣が頻発していたので、家を出る時には戸締り確認を必ずしている。  それなのに、鍵が……開いていた。  恐る恐る扉を開けると、ワンルームの家の中は嵐がやってきたのかと思うほど見事に荒らされていた。  そして、その中心には髪を振り乱して肩で息をしている20代くらいの女が一人……  扉が開く音に気づいてゆっくりと振り返ったその女は、焦点の合わない目で雪夜を見ると、ゆらりと近づいてきた。 「ねぇ……あいつはどこ?クスリは?どこに隠したの!?」  あ、これ絶対ヤバい……  意味不明のことを叫びながら掴みかかってくる様子に身の危険を感じた雪夜は慌てて部屋から出たものの、すぐに廊下で捕まって押し倒され、馬乗りになったその女に首を絞められた。  無我夢中で女を蹴り倒したが、服は破られるし、まだ襲ってくるしで、恐怖で叫び声をあげる雪夜と、半狂乱の女の声が重なって深夜のマンションが一時騒然となった。  騒ぎに気づいた住人達が警察を呼んでくれて事なきを得たのだが、雪夜よりも華奢に見えるその女を取り押さえるのに大の大人3人がかりでも手こずっていた――…… *** 「結局、その女って、何者?」 「なんか、隣人の元カノみたいな感じ?」 「元カノなのに部屋間違えたのか?」 「部屋には来たことなかったんだってさ……」  隣人にクスリ漬けにされた挙句捨てられたので、その仕返しをしてやろうとしたらしいのだが、身内を装って管理人から鍵を借りたところ、管理人が間違えて雪夜の部屋の鍵を渡してしまったらしい……  隣人は騒ぎに乗じて逃げ出したらしいが、数時間後には薬物所持諸々で逮捕されている。 ***

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