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どんなに暗い夜だって… 1-9(夏樹)※

「ぉっと……雪夜さん?ちょっと腕外してくれない?俺動けないんですけど……」 「……やぁだ……」  雪夜が夏樹の首に回した腕に力を入れる。 「ぁ~……寝惚けてるなコレ……くっそ可愛っ……」  雪夜の声が甘ったるい。  普段は照れてアワアワしているか、声を抑えているかなので、滅多にこんな声を出さない。  前に聞いたのは熱で倒れた時だっけ……寝惚けててもこうなるのか……  可愛いけど、寝惚けてるのを襲うわけにもいかないしな…… 「なつきさん……」 「ん?なぁに?」 「もっとぎゅ~して?」 「っ!?……いいよ」  秒で煩悩に抗うのは諦めて隣に寝転び、背中に腕を回して抱きしめた。 「ふふっ……なつきさんだぁ~……うれしぃ」  雪夜がご機嫌で夏樹の胸に擦り寄る。  なんだこの可愛いの……煽ってる?  思わず真顔になった。 「俺も嬉しいよ。それをちゃんと起きてる時に言ってくれたらもっと嬉しいけどね」 「おきてるもん」 「そう?じゃあ、キスしてくれたら信じるよ」  ちょっと調子に乗りました。はい。でもまぁ、言ってみるくらい――……  雪夜は、ふにゃっと笑うと、躊躇(ちゅうちょ)なくキスをしてきた。  こんなに素直にしてくれるなんて、起きている時ならあり得ない……  ヤバい、俺……しぬかもしれない……  雪夜にもっと甘えて欲しいと思うけど、本気で雪夜が甘えてきたら心臓がもたないです……  でも、せっかくの据え膳なので食っておく。 「ん~……ん?っんん゛……っは、っん」  雪夜がしたのは口唇が触れるだけのキスだったが、夏樹が舌で口唇をなぞると、雪夜も舌を絡めてきた。  お、積極的。  雪夜の股間もキスに反応してきたので、服に手を突っ込んで腹から下にかけて指を滑らせた。  夏樹の指が触れると、小さく身体が震える。  寝惚けてても敏感なのは変わらないのか……あ~もぅ……可愛すぎだろっ! 「っぁ……ん、っ……あっ、はっ……ん~っ!!」  雪夜が、夏樹の服をぎゅっと握って引っ張った。  構わずにそのまま口腔内を舌でかき回す。  下はほとんど触っていないが、もう先端はトロトロに濡れていた。  もうそろそろかな…… 「んっぁ……はっ……んん゛~~~っっっ!!!」  キスに合わせて下も少し強めにしごいてやると、ガリッと夏樹の背中に爪を立てる程しがみついて、果てると同時に意識をトばした。   ***

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