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どんなに暗い夜だって… 2-1(雪夜)

***  休み明けには地獄が待っている……  日本人が子どもの頃から「休む」という行為に消極的な最大の原因はコレではないだろうか……  休むことにより心身の疲れは癒されたはずだが、その癒しを一瞬で吹き飛ばしてしまい、むしろ休む前よりも疲れる結果になるという……    そう、休み中に溜まりに溜まった仕事や宿題の山だ。  そして今……俺の目の前にもノートやプリントの山が――…… *** 「まだこんなにあるぅぅうう~~~……」  雪夜はペンを放り投げ、両手で頭を抱えた。 「雪ちゃん、諦めてそれもう、コピーしちゃえよ。全部書き写すのは無理だろ~?」  雪夜の隣で一緒に佐々木のノートを書き写している相川がペンを回しながら笑う。  相川は休まず講義を受けていたはずなのだが…… 「ぅ~……でも、あの教授ノート提出した時にコピーしてたのバレたら単位くれないし~」 「俺なんか、コピーしまくってるぞ?大丈夫だって、内容全部チェックするわけじゃないんだから、コピーしたやつを上手いことノートに書いたみたいに貼っておけば……」 「相川って……そういう小細工だけは上手いよな……」 「そりゃもう、俺は小学生の頃からみどりちゃんに宿題写させてもらってたから――」 「みどりちゃん言うなっ!!!」  佐々木が丸めたノートで相川の頭を叩いた。  佐々木の下の名前は「翠」と書いて「あきら」と読むらしい。  大抵は「みどり、すい」と読まれるので、しょっちゅう女の子と間違われていたらしく、それがコンプレックスになっている。  そのせいで、大学では自己紹介でも「佐々木」としか言わない。  雪夜も子どもの頃は容姿のせいで「ゆきよちゃん」と呼ばれることが多く、下の名前で呼ばれるのが嫌だったので、佐々木の気持ちはなんとなくわかる。 ***  

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