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どんなに暗い夜だって… 2-2(雪夜)

「相川、俺、コーヒーが飲みたい」  雪夜のペンを拾いながら、佐々木が真顔で相川を見た。 「あ、俺も~!甘いやつ飲みたい!」  雪夜もここぞとばかりに便乗する。 「は?え?何で俺!?」 「そんなの……俺がみどりちゃんって言われるの嫌いだって知ってるクセにわざと言ったからに決まってんだろっ!?」  佐々木がひきつった笑顔で相川のこめかみをグリグリと押した。 「あぃたたたっごめんてっ!!」 「俺は脳みそが糖分を欲しがってるからぁ~お願いぃ~!」  雪夜は、佐々木に教えて貰った対相川用の『両手を前に組んで小首を傾げるおねだりポーズ』をしてみた。 「あ~もう!わかったよ!!」  相川が財布を持って飛び出して行った。 「ふっ……ちょろいな」  佐々木が相川の後ろ姿を見て不敵に笑った。  相川は、なんだかんだでこういう時には自腹で買ってきてくれる。  太っ腹で良い奴なのだ。  そう、優しい相川は雪夜のために、お菓子も買ってきてくれるはず……!  他人に甘えるのは苦手な雪夜だが、佐々木と相川にはなぜか自然と甘えてしまう。  二人が雪夜に甘いからかもしれないが…… *** 「それで、体調はどうよ?」  佐々木が机の上に散らばっているプリントを集めながらさりげなく聞いてくる。 「うん……もう大丈夫だよ。いろいろと心配かけちゃってごめんね」 「いや、夏樹さんがいるから大丈夫だとは思ってたけど」 「ぁ~……っていうか、俺の知らないところで二人連絡取りすぎじゃないっ!?」  いつのまにか佐々木と夏樹は連絡先を交換していて、雪夜のことについて連絡を取り合うようになっていた。  今回、雪夜が休んでいた間の様子も、たぶん佐々木には雪夜以上に筒抜けだったのだろう…… 「何だい雪夜くん、嫉妬ですか?」 「し……嫉妬ってわけじゃないけど……なんかちょっと……モヤモヤする……」 「心配しなくても、別に雪夜を差し置いて夏樹さんとデートなんかしてないって」 「そんな心配はしてないってばっ!!」  佐々木が横を向いて噴き出した。 「笑うなぁ!!」 ***

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