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どんなに暗い夜だって… 2-6(雪夜)
「今日、何食べたい?」
「え、あの……え~と、オムライス……とか……」
「オムライスね、ん~……ケチャップがもうなかったかな……よし!買い物して帰ろうか!」
「あ、あの、じゃあ、家にあるもので……」
「ん?何を作るにしても買い物しなきゃいけないから、オムライス作るよ」
夏樹さんは、本当に早く仕事を終わらせて迎えに来てくれた。
昼には今日は残業確定だと言っていたのに、定時よりも1時間も早く終わったらしい。
夏樹さんは凄いなぁ……
「週末は、服とか買いに行こうか」
「へ?」
「日用品はだいたい揃ったけど、服は佐々木君達に貰った3着しかないでしょ?」
あの事件で、雪夜の服は全滅した。
あの日着ていた服も襲われた時に破られたので、今着ているのは下着以外は全部佐々木に貰った服だ。
新しいの買わなきゃとは思うけど、古着を買うにしてもな~……他にも必要なものがいっぱいあるし……でもバイトにもいけてないから……
「……あ~でも俺は別に……今のところ不自由してないんで……服はもうちょっとしてからでいいかな~って……」
「……俺が嫌なの。雪夜が他の男が着てた服を着てるっていうのが。どうせなら俺の服着て欲しいけど、俺の服だとサイズが大きすぎるからな~……」
そういえば、この間も夏樹さんは、俺が他の男の匂いをさせているのが嫌だと言った。
そんなこと考えたこともなかったけど……俺にも何か匂いがあるのかなぁ……
「でも、もう何回も洗濯してるんで、夏樹さんと同じ匂いになってるはずなんですけど…」
雪夜が着ている服をクンクンと嗅いでいると、夏樹さんは、
「そういう意味じゃないんだけどね……」
と、苦笑いをして雪夜の頭をポンポンと撫でた。
夏樹さんが気になるなら、とりあえず1着だけでも新しいの買おうかな――……
***
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