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どんなに暗い夜だって… 2-7(雪夜)※

「それで、昼過ぎに電話した時、何してたの?」 「ぇ?あ、え~と……大量のプリントを書き写してました」  同棲を始めてから、なぜかお風呂は夏樹と一緒に入っている。  雪夜が不安定だったからだとは思うが、そこら辺の記憶が曖昧(あいまい)なので、経緯はよくわからない。  ただ、もうだいぶ安定してきたし鏡を見ても倒れることはなくなったのに、まだ一緒に入っているのは、なんだか申し訳ない気がする。  というか、俺が照れるんですけど…… 「あの……夏樹さん、俺もうお風呂一人で入れます……よ?」  一緒に湯舟に浸かる時は、夏樹に背中を向けて座る。  お風呂で向い合せに座るのはちょっと恥ずかしい…… 「雪夜は俺と一緒に入るの……いや?」  夏樹が雪夜を後ろから抱き寄せて、雪夜の指に、自分の指を絡めた。  指をスリスリしているだけなのに、なんだかゾクッとする…… 「っ……そ、そうじゃないですけど……その、夏樹さんがゆっくりできないんじゃないかと……」 「ゆっくり……ねぇ……」  首筋から耳の下にかけて、夏樹がペロリと舌で舐めてきた。 「ひゃっ……ぁの、おおお俺がいると湯舟狭いじゃないですかっ!!」  何っ!?なんだか今日は夏樹さんがやたらと――……  今までお風呂に一緒に入っても、身体を洗ったらさっさと出ていたのに!?  こんなに湯舟でまったりすることはなかった……はず…… 「雪夜がいても、ゆっくりできるけど?」  そう言いながら、雪夜の首から肩にかけて口唇を滑らせる。  さっきからなんなのっ!?こんな素肌で密着した状態でそんなことされたら…… 「ぁんっ……っ……」  浴室に雪夜の押し殺した喘ぎ声が響いた。  なんでお風呂ってこんなに声が響くのぉおっ!?  無駄にエコーかからなくていいからぁああ!!! 「ん~……勃っちゃったね」 「だって、これは……な……夏樹さんがっ……」  股を閉じて隠そうとしたが、一足遅かった……夏樹さん、こういうの目ざとい……  あ~もう、恥ずかしいぃ……こんなんだから俺…… 「ゆ~きや、顔隠さないでよ」 「ごめんなさい……俺……」 「なんで謝るの?」 「だって……俺……夏樹さんにちょっと触られただけなのにこんな……すみません、気持ち悪いですよね……」  夏樹さんが好きすぎて……夏樹さんの声や息遣い、匂いだけでも反応してしまいそうになる……だからこうやって直接触れられたりなんかしたら、もう――……  不安定だった時はなんで平気だったんだろう……こんなの無理だよぉ…… 「俺……変態なのかもしれないっ!」 「ぶふっ……っっっっ」  雪夜が真剣に悩んで半泣きになっているのに、夏樹が急に横を向いて噴き出し、顔を隠した。 「……っえ?」 「ちょっ……雪夜、やめてっ……俺、萌え死ぬからっっっ」  モエ……?それってどんな死に方なの?  意味がわからずキョトンとしていると 「ははっ……あ~、もう……ホント可愛いな雪夜は!」  そう言って夏樹が抱きしめてきた。 「あのね、雪夜。男なんだから興奮したら大きくなるのは当たり前でしょ?」 「でも、俺……前はそんなことなかったのに……最近特に夏樹さんに触られるとすぐに勃っちゃうし……こんなのやっぱり変ですよね……」 「……そうか~雪夜は俺に触られると勃っちゃうんだ~?」  夏樹がまだくすくすと笑っている。 「ごめんなさい……だからその、あんまり俺に触らないでください!!」 「却下!」  夏樹がスッと真顔になって即答した。 「え?」 「よし、とりあえず出るよ。長風呂しちゃったから、ここじゃ無理だ。のぼせちゃう」  夏樹が、雪夜を抱き上げて風呂から出ると、バスタオルで手早く身体を拭いた。  ここじゃ無理だって、何がっ!?  雪夜が呆気にとられてボーっとしている間に、ベッドに寝転がされていた。 ***

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