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どんなに暗い夜だって… 3-2(夏樹)

 ――な~んて……浮かれている場合じゃなかった…… 「え~と……どういうこと?」  雪夜を迎えに行った俺は、なぜか佐々木と二人きりで話していた。 「だ~か~ら~……あんたとは今まで会うのは週一で、しかもヤった後は雪夜はすぐに帰ってたんだろ?でも今は同棲してるから、ヤった次の日も当然ずっと一緒にいる。そのことを忘れてて、あ~……なんだっけ……あぁ、昨日結構大胆なことを言っちゃった?から、今頃になって恥ずかしくなってきてあんたの顔が見れないんだと……」 「……あ~……」  大胆なことって……あれかな?  思い当たることがありすぎるが、そんなに照れなくても……  思わず額に手を当てて唸った。 「なので、落ち着くまで俺のとこに泊まりたいと――……」 「ちょっと待て、なんでそうなるんだよ!」 「俺に言われてもな~……雪夜があの状態だし?」  佐々木がクイッと親指で自分の背後を指差した。  100mほど離れた所で、相川の背中にしがみついて顔を隠している雪夜がいる。  相川が夏樹を見て勝ち誇ったようにニヤリと笑った。  なんだろう……イラッとする……あ~あいつちょっと殴りたい……  同棲を始めたことで、さすがに鈍感な相川も俺と雪夜の関係に気付いたらしいが、その後もずっと変わらずあの態度だ。  夏樹に会うと、しょっちゅうケンカを売って来やがる…… 「なんで相川の後ろなんかに……」 「他に隠れるところがないからだろ。あれくらいで妬くとか心狭すぎですよ」  相川の挑発に頬をピクピクさせている夏樹を、佐々木が呆れたように見た。 「妬いてるわけじゃない。ただ、あいつが気に食わないだけだ」 「はいはい、まぁとりあえず、今日は俺のとこで様子見るよ。一日たったらちょっとはマシになるだろうし」 「同棲してるんだから慣れてくれないと困るんだけどなぁ……」 「というか、あの日あんたに頼ったのは俺だけど、実際あの恥ずかしがりやさんがあんたと同棲出来てることにびっくりですよ」 「……まぁ……正気の状態ではまだ数日だしな……わかった、とりあえず今日はそっちに任せるよ……何かあったら連絡して」 「わかってますよ、あ、雪夜がいないからって飲みに行ったりしないで下さいね」  佐々木が意味深な顔で言う。  どういうことだ?  佐々木がこうやって含みのある言い方をする時には何か意味がある…… 「……わかってるよ……」  少し思案して返事をする。 「ほんとにわかってんのかなぁ……」  佐々木が疑わしそうな顔で見ていたが、構わずに背後に目をやる。 「雪夜、それじゃぁ俺帰るからね。また連絡するから」  雪夜に声をかけて、大学を出た。 ***

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