61 / 715
どんなに暗い夜だって… 3-6(夏樹)
その後も、散々吉田と惚気 話やくだらない話をしてちょっとスッキリした夏樹は、23時頃帰宅した。
扉を開けても、真っ暗で誰もいない。
そりゃそうだ……
ちょっと前まではこれが当たり前だった。
でも、今は、雪夜と一緒に帰って来るのが当たり前になっていて――……
家にも自分の隣にも雪夜がいないのが淋しい――……
風呂から出てベッドに倒れこみ、ふと自分の手を見た。
昨日の雪夜の熱がまだこの手に残っている。
雪夜の匂い、啼き声、甘いキスの味まで鮮やかに思い出せる。
白い肌が興奮してピンク色に染まって、快楽に溺れて涙目で善 がって、あんなに激しく俺を求めていたクセに……俺の手から逃げようとするなんて――……
予想外過ぎるよ、雪夜――……
雪夜のことを考えていると、なんだか笑ってしまった。
本当に……雪夜は毎回、予想の斜め上をいってくれるから……
次はどんな反応をするのか楽しみで目が離せない。
雪夜を手放すことなんて……絶対にできそうにないな――……
さて、明日どうやって連れて帰ろうかと思案していると、電話が鳴った。
佐々木の名前を見て、慌てて出る。
「あ、夜分にどうも。起きてましたか?」
「あぁ、起きてるけど、どうしたの?雪夜に何かあった!?」
「ありました。お迎えの時間ですよ。今から家まで来てください。大学から徒歩で10分くらいなんで。場所はメールしますね。じゃ!――……」
「え、ちょ、待っ――……」
切れてるしぃいいいいい!!!
お迎えの時間ってなんだよ!?雪夜がどうかしたのか!?
とにかく、服を着替えてすぐに家を出ると、タクシーを捕まえてメールの場所まで急いだ。
***
ともだちにシェアしよう!