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どんなに暗い夜だって… 3-9(夏樹)※

 あ~もぅ……煽り過ぎだからっ!!!  どれだけ俺をキュン死させるつもりなの!? 「ところで雪夜さん……さすがに俺も愛しい恋人がそんな可愛いこと言ってきたら……理性を保つのが大変なんですけど?」 「……え……?」  キョトンとする雪夜に、自分の屹立した股間を押し当てた。 「っあ……」 「これどうしようか?」 「あのっ……えと……どうしたら……いいの?」  雪夜がちょっと戸惑い気味に夏樹を見上げた。  ん?……あ、これ……まだ正気じゃないな……  正気なら、もっと照れてアワアワして夏樹から顔を逸らしているはずだ。  いや、うん……わかってた。わかってたよ?  普段よりも甘ったるい声色だったし?  そもそも、ですます口調じゃなくなってたし?  別に……滅多に聞けない雪夜の告白にドキドキし過ぎて現実逃避してたとかじゃないし!!  頭の中でよくわからない言い訳をしながら、これからの行動を考える。  ……はぁ~……夢じゃなかったけど、雪夜がある意味夢の中だよ……  どうしようかなぁ~――……  まぁ、いいか。  逡巡(しゅんじゅん)すること0.1秒。  正気じゃない時に手を出すのは騙しているようであまり気が乗らないが……もう、この場合はほぼ合意の上ってことでいいだろ?  とはいえ、あまり雪夜の身体に負担をかけたくないから――…… 「そうだなぁ~……一緒に抜きあいっこする?」  雪夜の耳元で囁く。 「抜きあいっこ……?」 「そ、昨日ちょっとしたでしょ?俺のと雪夜のとを一緒にしごくの」  耳を愛撫しながら、雪夜の股間に手を伸ばした。 「っぁ……っ……んっ……っ」  夏樹が雪夜のソレを握ると、雪夜が反射的に夏樹の肩に顔を埋め、声が漏れないように手で口を押えた。  さっきはあんなに大胆な告白をしてきたクセに……そういうところは…… 「手……貸して」  口を押えている手を取って、股間に導く。  雪夜の小さい手では握りきれないので、夏樹も上から包み込んだ。  自分と夏樹のモノを握らされて、雪夜の手が強張って震えている。  振り払わないってことは、嫌ではないんだろうけど……  もう片方の手はずっと夏樹の服を握りしめている。 「ゆ~きや、顔見せて。キスしたい」 「……んっ……っ……」  首筋まで真っ赤に染めた雪夜が、首を振る。 「キスしちゃだめ?」  雪夜の肩がピクリと動いた。  顔を見られたくない気持ちと、キスをしたい気持ちとで葛藤中ってとこかな?  なかなか顔を上げないので、首筋にキスを落としていく。  俺が上を向かせるのは簡単なんだけど……  自分から来てくれないかな~…… 「ぁっ……はっ……んっっっ!なつっ……も、出ちゃぅ……っっ!!!」  雪夜が夏樹の首筋に頬を擦り付けてきた。  押し殺した喘ぎ声と共に、夏樹の首に熱い吐息がかかる……  だからっ……煽ってくるなってっ……くそっ!!  雪夜の手を離して、自分の手だけで二人のソレを握ると、根元から強くしごきあげた。 「んん゛っっ!!っは……や、ダメっ……なつきさっ……っ」  不意に手が伸びてきて、むぎゅっと両頬を挟まれた。 「っ……ん?なぁに?」  頭を起こした雪夜が眉根を寄せて潤んだ瞳でじっと見つめ返してくる。 「っ……なつきさん……っキスして……っ?」  はい、キタ!はい、可愛いっ!!  噛みつくように口唇を重ねて、舌先で上顎を緩く擦りながら、握りこんだ手の中の先端をグリグリと刺激する。 「っん……んん゛~~~っっっ!!!」  雪夜の足が夏樹の腰に絡みついてきて、首にしがみついていた腕に力が入ったかと思うと、白濁の熱が放出された。 「はぁっ……はぁっ……ん……っ」  口唇を離すと、ズルっと雪夜の身体の力が抜けた。 「……雪夜?」  トんじゃったか……  起きたら……忘れてるんだろうなぁ~……  上気した頬にキスをすると、ベッドにそっと寝かせた。 ***  最近ようやくわかってきた。  雪夜は早くから自分の性癖(ゲイであるということ)に気付いてしまったせいで、自分のイレギュラーな性癖や恋愛観に嫌悪感を抱いてしまったらしい。  同性を好きになってしまう自分はおかしいという自己嫌悪から、誰かを好きになれば誰だって持つような感情や欲求まで、自分の感情を全て否定してしまう。  全身性感帯かというくらい感度がいいのに、なかなか快楽に溺れきれないのもそのせいだろう。  いくら夏樹が、それは正常な反応だと言っても、イマイチ素直に受け入れられないようだ。  だから、実践で徐々にそういうことに慣らしていくしかない。  今までは雪夜を怖がらせたくなくて、できるだけ雪夜のペースに合わせてきたけれど、抱く度に佐々木の家に行く行かないで大騒ぎされるのは困る……かと言って、一緒に住んでいるのに手を出さないと雪夜が不安になるし……というか、俺がキツイ……  どうしたものか――……  完全なるジレンマに陥った夏樹はため息を吐いて雪夜の隣に横になると、しばらく天井をぼんやりと眺めていた――…… ***  翌朝……夏樹を散々振り回してくれた雪夜は案の定、目覚めた時には昨晩の自分の言動など綺麗さっぱり忘れていて、いつものごとく大騒ぎをした。  ……もぅ……この子酔っ払いより性質(たち)悪い……誰か助けて~!!――…… ***

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