「ごめんごめん、つい意地悪し過ぎた。雪夜の反応が可愛いから……」 　息が苦しくなって雪夜が口唇を離すと、夏樹が雪夜の涙を指で拭いながら笑った。 「それで？他には何がしたいの？」 「……っ……だから……えっと……」 　夏樹がキスをしてくれたことでちょっと満足してしまったので、急に恥ずかしくなってきた。 　他には……？俺、何がしたいんだっけ……？ 「うん、なぁに？」 　夏樹が優しく微笑んで促してくる。 　あ～もぅ……その笑顔はズルいですよ…… 　夏樹さんのエロい笑顔は下半身に直撃するけど、いつもの優しい笑顔は心臓を打ち落としに来る！ 　結局、雪夜は夏樹さんには勝てない。だって、どんな夏樹さんも好きだから――…… 「……抱いて……ください……」 　なぜか、勝手に言葉が滑り出てきた。 「どんな風に？」 「どっ！？」 　どんな風にって言われても……どんなのがあるの！？これ、何が正解なの！？ 「えっと……さっきの……言葉通り……に？」 「あれは俺の欲望だけど？」 「な、夏樹さんの欲望は、俺の欲望でもあるしっ！！俺は夏樹さんになら……何されてもいいし――……」 　っていうか、夏樹さんの欲望だからいいんじゃないかっ！！夏樹さんが気持ち良くなってくれるなら嬉しいしっ！！ 「っ！？」 　夏樹が一瞬絶句した。 「あ～くそっ……雪夜さん……それは簡単に言っちゃだめだよ～……なんでそういう殺し文句をサラッと言うかなぁ……」 　片手で顔を隠した夏樹の耳が少し赤くなった。 　え、夏樹さん……照れてる？っていうか、俺今何言っ――…… 「……え？……ぁ……いや、あの……何されてもって言うのは……痛いのとかグロイのとかはナシでっ！」 「ははっ、それは大丈夫、俺も別に特殊プレイには興味ないから。でも……雪夜の泣き顔は好きだから……ちょっと虐めたくなるんだよね～……」 　夏樹が愉しそうに雪夜の耳を撫でる。 「ひぇ！？」 　それ完全にいぢめっこの顔ぉおおおっっ！！！！ 「気持ち良すぎて俺以外の奴とのセックスじゃ勃たなくなるくらいに、この身体に快楽の味を覚えさせてあげたいんだよね……」 　ちょっ！！夏樹さん爽やかな笑顔で何言ってるの！？……っていうか…… 「……っ夏樹さん以外の男になんて……抱かれたくないですよ……」 「っ……ふふ、嬉しいこと言ってくれるね。俺も……雪夜じゃないと満足できない。こんなに愛しいと思うのは雪夜だけだよ」 「夏樹さん……」 　夏樹が少し困ったように照れ笑いをして、雪夜の頬を手のひらで包んだ。 　雪夜は、その手のひらに自分から頬を擦り付けてキスをすると、 「夏樹さん……抱いてくれますか？」 　もう一度、お願いをしてみる。 「もちろん、でも今日は俺も自制きかなくなりそうだから……覚悟して？」 「……が……頑張りますっ！」 　どう覚悟すればいいのかわからなくて、変な返事をしてしまった……頑張るってなんだよ俺…… 　夏樹がクスリと笑って、頭を起こし口唇を重ねてきた。 　軽く触れるだけのキスをしながら上に乗っていた雪夜を隣に降ろす。 「下からの眺めもなかなかそそられるんだけど……雪夜のご要望に応えるためにはやっぱり俺が上じゃないと……ね？」 　舌なめずりをしながら熱っぽい瞳で見下ろしてくる夏樹の表情と、これからされるであろう行為を想像したら身体が期待と悦びに震えた。 　あぁ……もう俺、淫乱でも変態でもいいや……認めるよ…… 　夏樹さんがこんな俺でも好きだと言ってくれるんだから、夏樹さんに身も心も委ねてしまえばいい――…… ＊＊＊ 　雪夜がこの日最後まで気を失わずに頑張れたのかは、夏樹だけが知っている。 「え、雪夜がどうだったかって？そりゃもちろん、最高に可愛かったよ……とりあえず、次の日が休日で良かったよね。まぁ……最初からそのつもりで週末を選んだんだけどね（計画通り！）」 ＊＊＊