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どんなに暗い夜だって… 4.5-1(夏樹)
《どんなに暗い夜だって……おまけ ~イチャイチャしたい!~》
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「……ぅ~ん……」
「湿布貼ってあげようか?」
「……ちょっと休めば大丈夫……だと思います……」
緑川の部屋の片づけを始めて数日。
雪夜は、全身筋肉痛に悩まされていた。
今も帰宅するなりソファーに倒れこんでいる。
「晩御飯できたよ~……って、寝ちゃったのか」
夏樹は手を腰にあてて、やれやれ、と一つため息を吐くと、雪夜をベッドに運んだ。
「お疲れ様……」
眉間に皺を寄せて唸りながら眠る雪夜の額に口付けをして、頭を優しく撫でた。
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バイト初日、佐々木からメールが来た。
『緑川って先生の部屋ヤバいっす。雪夜は大丈夫だって言い張ってるけど……なるべく早めに来てやって下さい。一応今日は俺らも一緒にいますけど』
そう言って送られてきた緑川の部屋の画像は、雪夜の部屋の片づけをしに行った時に佐々木から送られてきた画像とよく似ていた。
違うのは、部屋の印象だけだ……雪夜の部屋は赤いペンキだらけだったので、ペンキだとわかっていても嫌な感じがした――……
***
片づけをすると言っても、部屋中が本で溢れていて、仕分け用の段ボールを組み立てる場所も、置いておく場所もない。
仕方ないので、廊下で組み立てて、本を廊下に運び出し、仕分けをしていったらしい。
佐々木と相川も手伝って4人がかりで延々仕分けること6時間。
最終的に必要不必要を確認して仕分けるのは緑川一人にかかっているのでなかなか進まず、ようやく仕分け用の段ボールを室内に設置できる程度の場所を空けられたと言っていた。
夏樹が通っていた大学にも、本に埋もれてどこにいるのかわからないような先生がたくさんいたが……才能が偏っている研究者が多い大学の先生は整理整頓能力が著しく欠けているのだろうか……と考えてしまう。
雪夜は、初日こそ緑川の部屋を見て少し発作を起こしかけたようだが、その後は不安定になることもなく毎日時間を見つけてはバイトに励んでいる。
初日を佐々木、相川と一緒にワイワイ過ごせたのが良かったのかもしれない。
それ以降も時間のある時は、佐々木達も手伝ってくれているらしい。
「バイトなんて……しなくてもいいのに……」
夏樹としては、あれからまだ2か月ちょっとしか経っていないのだから、もう少し落ち着いてからでもいいのにと思う。
ただ、雪夜が今の状態に引け目を感じて、焦っているのもわかる。
自分が自由にできる金銭がないというのは、不便だというだけでなく、精神的にも追いつめられる。人に頼ることに慣れていない雪夜にとって、夏樹に金銭面で頼りきるというのは、かなりハードルが高いのだろう。
バイトをすることで雪夜が少しでも精神的に楽になるなら、できるだけ応援してやりたい。
夏樹は別に雪夜のことを負担だなんて思っていないし、むしろもっと頼りきって依存してくれても構わないと思っている……でもそれは完全に夏樹のわがままだから――……
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