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どんなに暗い夜だって… 4.5-2(夏樹)

「ん~……なちゅきしゃん?」  雪夜が起きそうになかったので、先に晩御飯と風呂を済ませた。  風呂上がりに腰にタオルを巻いて水を飲んでいると、雪夜の声が聞こえた。 「あ、目が覚めた?」  ベッドに様子を見に行くと、寝転んでボーっとしている雪夜が、夏樹の身体に手を伸ばしてきた。 「……雪夜?」  寝惚けてる?  雪夜が夏樹の腹筋を遠慮なく撫でまわして来る。  の最中でもそんなに雪夜から触って来ることはないので、雪夜の手の感触に不覚にもドキッとしてしまった…… 「いいな~……腹筋……俺……夏樹さんの身体好き……」  俺の身体が好き?そんなこと初めて聞いたけど……というか…… 「っ……身体だけ?」 「ん~?」  雪夜が指で夏樹のシックスパックをなぞっていく。妙にその動きが艶めかしい……  でもね……そういうことは……セックスするときにして欲しいんですけどっ!?  なんなのこの生殺しっ!!! 「他には?どこが好き?」  夏樹の腹をまさぐる雪夜の指に自分の指を絡めて、雪夜の顔の横に押し付け、額と額をくっつけた。  口唇に軽くキスをして腹筋から雪夜の気を逸らさせる。 「ん~……他にはぁ~……ぜ~んぶ好きぃ~……」  雪夜が、へにゃっと笑う。 「んん゛……っっっ!!!!」  ヤバい、鼻血出そう……雪夜が寝惚けててよかった……こんな顔見せられないよっ!!  顔が熱い……勝手に頬が緩む……くっそっ……!  夏樹は、下唇を噛んで、繋いでいた指にグッと力を込めると、雪夜の肩に顔を埋めた。  あ~~抱きたい……  バイトを始めてからの雪夜は久々の力仕事に疲労困憊(ひろうこんぱい)で、帰宅したら眠気との勝負になっていたので、しばらくセックスどころか、イチャイチャもできていない。  その上、昨日、今日は全身筋肉痛のせいで、触れることすらままならなかった……  別に……まだバイトを始めて二週間くらいなので、同棲前の週一しか会えなかった時のことを思えばどうということはない……はずだけど、目の前にいるのに何も出来ないのはやっぱりキツイ!!!  グリグリと頭を擦り付けると、雪夜がフフッと笑った。 「夏樹さん、どうしたんですか?……くすぐったいですよぉ」  あれ?この感じは…… 「起きた?」  顔を上げると、まだ少し寝惚け眼の雪夜と目が合った。 「え?は……い……あ、俺寝ちゃってました!?」  雪夜が、ガバッと起き上がった。  お、覚醒したかな。 「うん。ソファーで横になってそのまま寝ちゃってた」 「うわ、すみません……運んでもらっちゃって……」  雪夜が頭を抱えた。  うん、完全に目が覚めたな。 「構わないよ。お腹空いてない?晩御飯温め直すね」 「あ、自分でしますよ!夏樹さんは休んでて下さい」 「いいから、雪夜は先にお風呂入っておいで。その間に用意しておくから」 「……はぁい……」  寝惚けている雪夜は、自分の感情に素直な分、性質(たち)が悪い……普段言わないようなことや、しないことをしてくるし、油断しきった笑顔は破壊力がスゴイ……  起きている時は照れてなかなか甘えてきてくれないが、色気を垂れ流して散々煽っておいてお預けをくらわされるよりはマシだ。  夏樹はそっと息を吐くと、キッチンに向かった――…… ***

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