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どんなに暗い夜だって… 4.5-3(夏樹)
雪夜が晩御飯を食べて食器を洗っている間、夏樹は職場から持ち帰っていた書類に目を通しながらPCにデータを打ち込んでいた。
ふと視線を感じて顔をあげると、カシャッとシャッターの音がした。
「ひゃっ!っぉわっ……とっ……ああ゛っ!!」
夏樹に気付かれるとは思っていなかったらしく、慌てた雪夜の手の上で携帯が跳ね、床に落ちた。
「あの……な、なんでもないですっ!!お仕事続けて下さいっ!!」
雪夜がパッと携帯を拾って、視線を泳がせながら後ろに隠した。
「雪夜?」
夏樹が訝 しげに眉間に皺を寄せ名前を呼ぶと、雪夜の肩がピクッと跳ねた。
「ぁ~……えっと……あの……ごめんなさい……」
悪戯 が見つかった子どものように、首を竦 めて上目遣いに夏樹を窺 う。
「ゆ~きや、こっちおいで」
「……はぃ……」
夏樹が呼ぶと、気まずそうな顔でやってきた。
「何してたの?」
「え~と……あの、写真を……えと……勝手に撮ってごめんなさい!!!」
夏樹の前に座ると、携帯を握りしめてしょんぼりと項垂れた。
「怒ってるんじゃないよ。なぁに?俺の写真撮りたかったの?」
「あの……夏樹さんの写真……前に撮らせてもらったやつとか全部消しちゃったから、また欲しいなって……あの……ね、一人の時に……発作が起きそうになったら……夏樹さんの顔見たら落ち着くかなって……思って…………っすみません、消しますぅううううう!!!!!」
「待て待てっ!!消さなくていいからっ!!!」
今にも消去しそうな勢いだったので、急いで雪夜の手から携帯を取り上げた。
そういえば、雪夜は以前別れ話になった時、連絡先や写真など、夏樹に関するものを全てきれいさっぱり消去したんだっけ――……
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