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どんなに暗い夜だって… 番外編-9(夏樹)

「あ、そうだ。雪夜ごめん。ちょ~っとだけ離れて?俺今びしょびしょだから……着替えないと……」  雪夜の可愛い行動に軽くムラッとしながらも、その服を見て自分の状態を思い出した。 「やぁ~っっ!!」  雪夜が頭を横に振りながら、抱きつく腕に力を込めた。 「ん~……でもこのままだと雪夜までびしょびしょになっちゃうよ?」  というか、ベッドも…… 「わかった、じゃあ、雪夜が脱がして?」 「……ん」 「……え?」  雪夜が首に回していた手を下におろして、びしょ濡れの夏樹の服に手を伸ばした。  ぬ……脱がしてくれるの~~~!?  軽い冗談だったのに……  あ~ダメだ。  2日ぶりのこれはヤバい……  雪夜が、雷鳴が轟く度にビクッとしながら震える指でボタンを外していく。  暗くて良かった……これ、にやけないで待ってられる奴とかいる!? 「っひゃっ……!」  ひと際大きな雷鳴が轟き、雪夜が夏樹に飛びついてきた。  どこかに落ちたか…… 「大丈夫、俺がいるでしょ?もう怖くないよ」  雪夜の心臓がドキドキしているのがわかる。  震える背中を撫でながら片手を伸ばしてサイドテーブルから懐中電灯を取り出した。  雪夜を抱きしめながら気象情報を確認する。 「ん~……うん、この雲の感じだと、もうすぐ雷はどこかへ行っちゃうよ。だから大丈夫」  っていうか、雷よりも電気だよ……  早く復旧しないとこのままじゃまた発作が――……  雪夜が夏樹に抱きついたまま動かなくなったので、隙間に手を差し込んで自分で残りのボタンを外した。  電気が止まってクーラーが切れているせいで、室内の温度が上がってきている。  雨と汗で濡れているワイシャツが身体に張り付いて気持ち悪い。  夏樹が脱いでいると、雪夜が腕を緩めて背中側を脱がしてくれた。 「ん、ありがと」 「……」  雪夜は夏樹からワイシャツを剥ぎ取ると、振り返りもせずに後ろに投げ捨てた。  おいぃいい!!!雪夜さん!?  床の上に濡れたワイシャツがビシャッと落ちた。  あ~……まぁ後で洗うからいいけど……  ついでにスラックスも脱ぎたいな……たぶん、中まで濡れてる……エロい意味じゃなくて……  そんなくだらないことを考えながら、胸にしがみつく雪夜を見下ろして、苦笑する。  今は無理だな。 ***  とりあえず、服……  裸のままではムラムラしてしまうのでさっきまで雪夜が握っていた夏樹の服を拾った。  これでいいか。 「……ん?」  夏樹が着ようとすると、雪夜の手が伸びてきて、またその服を胸に抱きこんでしまった。 「え~と……雪夜さん?その服……俺が着ちゃだめなの?」 「だめ……」  そんなにその服気に入ってたのか? 「……わかった、じゃあ雪夜それ着て。俺に抱きついたから雪夜も服濡れてるでしょ。俺は他の取ってくるから」  雪夜の服を脱がすと、その服を着せた。 ***

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