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どんなに暗い夜だって… 番外編-12(夏樹)
ヤり過ぎた……
いつの間にか停電は復旧して、部屋は明るくなっていた。
そのことにも気づかないくらい夢中で雪夜を貪っていた自分に呆れる……
何時間ヤってた?
時計を見て更に呆れた……
普段は、翌日のことや雪夜の身体のことを考えて、加減して抱いている。
でも今日は……完全に理性が飛んだわけではなかったが、雪夜につられて多少感情的になっていたことは否めない。
まぁ……実際俺のタガが外れたら、たぶん数日は抱き潰すだろうけどね。
それくらい雪夜への想いは募っている……
隣で眠る雪夜の額に口付け、頬を撫でる。
明日は一日起きられないだろうな……
***
夏樹は、完全に眠り込んでいる雪夜をお風呂に入れて、新しいシーツに取り替えたベッドに寝かせた。
しばらく雪夜の様子を窺い、体調に変化がないのを確認すると、ベッドの周りに脱ぎ捨てた服を拾い集め、洗濯機に放り込んだ。
スーツは明日クリーニングに出すからいいとして……
大きなため息を吐きながら、スーツで包 んでいたので何とかびしょ濡れは免 れた鞄と、ぐちゃぐちゃになったお土産を眺めた。
一応……中は濡れてないから食べられるけど……
一瞬捨てようかと思ったが、前にそれをして「もったいない!形が崩れても食べられます!」と雪夜に怒られたことを思い出し、そっとテーブルの上に置いた。
***
出張用の鞄を片づけ、一息入れようと台所に行く。
お茶を取ろうと冷蔵庫を開け、何気なく中を覗いて目を見張った。
「ん?……あれ……これって……っ!!!」
明らかに手作りの料理が乗ったお皿がある。
えっ!?ええっ!?
雪夜が寝ているベッドと冷蔵庫の中のお皿を交互に五度見くらいした。
え、ちょっと待ってっ!?
雪夜のところに行きかけて、いやいや、疲れて寝てるのにこんなことでわざわざ起こしちゃダメだろ……と自分に言い聞かせる。
起きたら聞いてみよう……
そう思いながら、マジマジと料理を見る。
……え……
料理に飾られたメッセージを読んだ瞬間我慢が出来なくなった。
お皿を持ったまま急いでベッドに戻る。
「ねぇ!!ちょっとっ!!雪夜っ、起きてっ!!」
「……ん~……」
雪夜を無理やり抱き起すと、とりあえず水を飲ませる。
「ん……ゲホッ……はぁ……」
水を飲んで落ち着いたところで、話を切り出す。
「疲れてるところごめんねっ!!でもちょっとこれって!!!」
冷蔵庫に入っていた料理を見せる。
「ふぇ~?……あ~……えっと……俺が作ったの……佐々木に作り方教えて貰って……でもちょっと失敗しちゃったから……」
喘ぎ過ぎて掠れ声の雪夜が寝惚けながら返事をする。
お皿には、少し焦げてぐちゃぐちゃになったたまごがかかったオムライスが盛られていた。
「雪夜の手作りっ!?」
「そそそそうれしゅ……」
夏樹に肩をガクガクと揺さぶられ、さすがに雪夜も覚醒した。
「あ、え?……あ~、そうだ。えと……遅くなっちゃったけど……お誕生日おめでとうございます」
「っ……ははっ、ありがとう……めちゃくちゃ嬉しいっ!!」
気だるげな雪夜を抱き寄せると、今日一番濃厚なキスをした。
そうか、今日俺の誕生日だったんだ……
もういい年齢 だし、自分の誕生日などどうでもいいと思っていたので、完全に忘れていた。
むしろ雪夜が誕生日を覚えていてくれたことに驚く。
付き合い始めた頃に誕生日の話題になって、一回話したことがあったように思うけど……そんなのだいぶ前の話だよ!?
そして、何よりも……料理が全然できない雪夜が、夏樹のために練習して作ってくれたということが嬉しくて、胸がいっぱいになった。
「……良かった……ちゃんと言えた……」
喜ぶ夏樹を見て、雪夜がホッとしたように呟いた。
***
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