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どんなに暗い夜だって… 5-7(雪夜)

「お~い、雪夜ぁ~!帰っておいで~!」 「ほらほら、雪ちゃんの好きなカフェオレだよ~?これでも飲んで落ち着きな?」 「……へ?」  気が付くと、電話をしていたはずの佐々木と相川が目の前にいて、相川がカフェオレの入ったコップを雪夜の頬に押し付けていた。 「あ、ありがと」  とりあえず、カフェオレを飲む。 「おいしー!」 「うんうん、それは良かった」  相川が満足そうに頷いた。  あれ?そういえば、夏樹さんとの電話はどうなったの?もう終わったのかな? 「落ち着いたか?じゃあ、夏樹さんとの話の内容言うぞ。え~と、とりあえずダブルデートで納得したから。っていうか、別に嫌とかじゃなくて、夏樹さんとのデートはいつでもできるから、無理に今週末にこだわらなくてもいいっていう意味だったみたいだぞ」 「そうなの?」 「うん。でも、雪夜は俺たちとも行きたいし、夏樹さんとも行きたいんだよな?」 「……うん……せっかくだから、できたらみんなで行きたい……でも、初デートでダブルデートっておかしいのかな?」 「そんなことはないと思うよ。まぁ、知らない仲じゃないし、気まずくなることはないだろうしな」 「そか……二人とも、ありがとね」 「こちらこそだよ。雪ちゃんのおかげで(あきら)を引っ張り出すのに成功したしな」  相川がこっそりと耳打ちして、ウインクをした。 「なんだよ?今何言った?」  佐々木が二人の様子を見て、不審そうな顔をする。 「雪夜~?俺に内緒で何の話してたんだ?」  相川に聞いても話さないのはわかっているので、雪夜の方に聞いてくる。 「え?いや~……えっと……花火大会楽しみだねぇ~って……」  佐々木の圧に思わず目が泳ぐ。  別に隠すようなことでもないけれど…… 「そうそう、花火大会楽しもうな~って言ったんだよ!!な~、雪ちゃん!」  相川がすかさず雪夜を援護した。 「ふぅ~ん?……まぁいいけど」  佐々木が、どうせくだらないことだろ?という顔をして相川を見る。 「え~と、それで、集合場所とかは夏樹さんに言ってあるから。午前中は別行動な。雪夜にとってはそっちが初デートだな」  話を戻した佐々木が、雪夜に優しく笑いかけた。 「え、別行動って……どこ行くの?」 「それは雪夜が決めればいい。夏樹さんと行きたいところ、どこかないか?」 「夏樹さんと行きたいところ……」 *** 「あ、そうだ。これでも見てみたら?」  雪夜がまた振り出しに戻って考え込んでいると、相川が本棚からガイドブックを取り出した。 「前に、翠とどっか遊びに行きたいなと思って見てたんだよね~」 「お前それ……持って帰ったと思ってたのに、そんなとこに入れてたのか……」  佐々木が呆れたように相川を見た。  勝手知ったるなんとやらで、二人は前からこうだ。  相川は気にする様子もなく、ペラペラとページをめくる。 「どうせしょっちゅう来てるんだから、いいだろ?それより雪ちゃんこことかどうよ?」 「わ~スゴイね!!おもしろそう!」 「雪夜、もうとりあえず、その中で行ってみたいって思ったところ全部に付箋貼っとけ」  佐々木が雪夜に付箋を投げてきた。 「え、貼っていいの?」 「いいよ。夏樹さんと行くかどうかは別にして、チェックしといたら、また遊びに行けるだろ?何なら俺らと行ってもいいんだし?」  そうか、佐々木たちと遊びに行くっていうのでもいいのか~! 「わかった!!」 ***

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