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どんなに暗い夜だって… 6-23(雪夜)※
「ん~?ふぁにふぉれ(なにこれ)」
夏樹が非難がましい目で雪夜を見てきた。
雪夜が夏樹の口を手で押さえているからだ。
なにこれと言われても……
夏樹さんが、俺をベッドにおろしながらキスをしようとしてきたからですよっ!!
「だだだだって、俺……先生と……それにさっき吐いちゃったし……」
口を漱ぐ時にちゃんと歯磨きもしたけど……そもそも他の男とキスした後なんて……嫌でしょ……?
「だからその……キスとかは……無理にしなくても……」
今はただ……夏樹さんが抱きしめてくれるだけで十分嬉しいから……
実は夏樹は助けに来てくれた時にも軽くキスをしてくれたのだが、雪夜はその時、茫然としていたのでキスされたことは覚えていなかった。
「俺がしたいからするのに何か問題ある?それに、他の男にキスされたから俺が上書きするんでしょ?いつまでもあんなやつの感触を引きずりたい?」
雪夜の手に指を絡ませながら、少し不機嫌な顔をする。
「そういうわけじゃ……」
「雪夜は俺の感触だけ覚えてればいいんだよ」
「っぁ……んっ……っ」
夏樹が優しく探るようなキスをする。
軽く口唇を重ねてスウィングさせたり、口唇を挟み込んで甘く噛んだり……時々小さくリップ音をたててはクスッと微笑むのが嬉しくて、口唇が触れているだけでなんだか幸せで……
でも……これだけじゃ物足りない……いつもみたいに、もっと……
「っ……なつきさん……もっと…………っん」
雪夜が呟くのを待っていたかのように、夏樹が舌を絡ませてきた。
舌先を擦り合わせて、歯の裏をなぞって……緑川にされたような乱暴で一方的なキスじゃなくて、愛情を確かめあうように濃密で甘くとろけるようなキスだった……
***
夏樹のキスに酔いしれていた雪夜は、夏樹の手が肌に触れるのを感じて我に返った。
「だめっ!!!……あ……あの……えっと……」
服の中に入ろうとする夏樹の手を思わずペチンと叩いてしまった。
昨日、身体をかなり強く擦ってしまったので、今日は肌がガサガサで酷い状態になっている。
夏樹さんにこんな汚い肌見せられない……
それに、こんなの見られたら夏樹さんにまた心配かけちゃう……どうしよう……
昨日は先生に何かされたと思いこんでたから……もう夏樹さんに抱かれることなんてないだろうと思ってたから……
雪夜が夏樹にどう話そうかと考え込んでいると、
「雪夜が肌を傷つけてるのは知ってるよ。昨日見たから。っていうか、薬塗ったの俺だし」
雪夜に叩かれた手を不服そうに振りながら夏樹がサラッと言った。
え゛……昨日見たって、いつの間に!?
「いや、でも……今日は昨日より酷くなってるし……夏樹さんいつも俺の肌キレイだって言ってくれるのに……こんなボロボロの肌なんて見られたくない……」
雪夜が半泣き状態で訴えると、夏樹が根負けして雪夜の服から手を離した。
「わかった、じゃ、着たままでいいよ」
「……え?」
着たまま?
「着たままの方がキツイと思うけどね……」
夏樹がニヤッと笑うと、服の上から背中にスッと指を滑らせた。
「ひゃんっ!」
緑川には服の上から触られるだけでも虫唾 が走るくらい気持ち悪かったのに、夏樹に触れられると服の上からでもなぞった跡がジリジリと熱を帯びて疼く。
胸の突起も、直接触れられるより服の上からの方がなんだか布との摩擦で絶妙に刺激されて……思わず声が漏れてしまう。
「っ……んっ……あの……っ夏樹さん!?」
「なに?服は脱がしてないよ?」
「そ……そうなんですけど……そうじゃなくて……指が」
服の上からなのに……夏樹さんの指の動きが……やけにエロいんですけど!?
「エロく触ってるんですけど?」
雪夜の頬を撫でながら夏樹が艶やかに笑った。
「夏樹さん……まって……っ服が擦れて……っあ」
「痛い?」
「わ……かんな……い」
もう痛いのか気持ち良いのかわからない。
服に荒れた肌が引っかかって擦れる度に小さく痛むのに、夏樹さんが指を滑らせるとゾクゾクと身体中を電気が走っていくので、痛みと快感が交互にきて脳が混乱していた。
「ここ……もうぬるぬるだね……やらしぃな……」
夏樹の指が股間の膨らみの上をなぞっていく。
「っや……は……っ」
夏樹とのキスで軽くイッていたうえに、服の上からの愛撫でまた雪夜のソレが屹立し先端が濡れてきている。
ぐちゃぐちゃで気持ち悪いから脱ぎたい……直接触って欲しい……
雪夜が目で訴えているのに、夏樹はそのまま上からなぞるだけだ。
夏樹さん、絶対わざとだ……
雪夜の身体を弄る夏樹の目が明らかに楽しんでいる。
夏樹の手が後ろにも滑っていく。
布越しに軽くトントンと入口を刺激されると、自分でもひくついているのがわかった。
夏樹の指が入口の浅いところを布ごと挿入っては出ていく。
もっと中に挿入って欲しくて、もどかしさに奥が切なく疼いた。
「んんっ……ぁっ」
堪えきれずに雪夜が小さく喘ぐと、耳を愛撫していた夏樹が喉の奥で笑って胸の突起を弄りだした。
唾液で湿った布越しに、小さな突起を口唇で挟んでは舌で転がしていく。直接触れているわけじゃないのに夏樹の熱い吐息を感じて、胸の突起も痛いくらいにぷっくりと膨らんでいた。
あぁ、もう無理っ!!
「なつ……きさんっ……もうやだぁ……っちゃんと触ってください」
「ん~?肌に直接触っていいの?」
夏樹が意地悪な顔で笑う。
「っん……いいからっ!……あ……でも、夏樹さんが見てやっぱり無理だと思ったら……」
こんな肌見たら萎えちゃうかもだし……
「そんな心配しなくていいよ。っていうか、そんなこと考えてるなんて随分余裕だね?」
雪夜の心配をよそに、夏樹はさっさと雪夜の服を脱がしてしまった。
そんなに一気に脱がされると思わなかったので、やっぱり気になって手で身体を隠す。
その手を取って指に軽く口付けると、夏樹がゆっくりと視線を上げて雪夜を見た。
「余計なことなんて考えられないくらい、俺でいっぱいにしてあげるね」
艶やかに微笑みながらそう言うと、夏樹は雪夜に甘い口付けをした。
雪夜を見つめる夏樹のまなざしが優しく温かい。
そんなの……もうとっくになってますよ……俺の頭の中も心の中も夏樹さんしかいないもの……俺が触れられて気持ちいいのは夏樹さんだけだもの……
自分でも今回のことでそれがよくわかった。
緑川は彼氏だけが全てじゃないって言っていたけれど、雪夜にとっては夏樹が全てだ。
気持ち良くなれるのも、触れられたいと思うのも夏樹しかいない。
***
「雪夜、愛してるよ」
夏樹は雪夜の傷口を刺激しないよう柔らかく抱き包みながら耳元で囁くと、時間をかけていつも以上に丁寧に優しく全身を愛撫してくれた。
夏樹がひとつひとつの傷を指と口唇で優しくなぞっていく。
夏樹の舌で身体中が溶けてしまうかと思うくらいトロトロにされて……甘美な刺激にあっという間に夏樹のことしか考えられなくなっていった。
雪夜の心も胎内も夏樹で満たされて、雪夜のあげる小さな啼き声も甘い吐息も夏樹の口付けに飲み込まれた。
ヒリつくような全身の痛みも繰り返し押し寄せる快楽で消し去られ、緑川の嫌な記憶も雪夜の不安や涙も夏樹が全て包み込んでくれた気がした――……
***
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