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どんなに暗い夜だって… 番外編2-1(雪夜)
《Present for you ……》
***
夏樹から一周年記念のプレゼントを貰ってから、一週間が過ぎた。
雪夜はその間、日中は一人で家の中に閉じこもり、夜は夏樹と過ごしている。
バイトが出来ないのは残念だが、自分のせいだから仕方がない。
佐々木たちが昼間一緒にいると言ってくれたが、家に閉じこもっていれば佐々木たちにいて貰わなくても大丈夫だからと丁重に断った。
大学が始まればまた一緒にいられるし、せめて残りの夏休み中は佐々木たちには迷惑をかけたくない。
ただ……そんな状態なので、いまだに夏樹へのプレゼントは買えていない。
家にいる間、ネットで「年上の彼氏におススメのプレゼント」などを調べてみたけれど、やっぱり夏樹が喜びそうなものがイマイチわからない。
良さそうだと思うものがあっても値段を見てため息が出る。
もういっそ佐々木たちに話して一緒に選んで貰おうかな……と思ったり……
***
「雪夜!?」
そんなことを考えながら洗濯物を畳んでいると、急に夏樹の声がして我に返った。
はっと顔を上げると目の前に夏樹がいて、心配そうな表情で雪夜を覗き込んでいた。
「あっ!え!?あの、おかえりなさい!!すみません、俺気付かなくて……」
夏樹さんいつ帰って来たんだ!?インターホン鳴ったっけ!?
思わず玄関と夏樹を交互に見た。
いつもは夏樹が帰って来ると、雪夜が鍵を開けて玄関で出迎えているのだ。
「うん、ただいま。……大丈夫?具合悪い?」
夏樹が雪夜を膝の上に抱き上げ、額を合わせてきた。
「熱はないね……」
夏樹がほっとした顔で笑う。
「へ?あ……はい」
雪夜がボーっとしていたので、熱でもあるのかと思ったらしい。
心配かけちゃってごめんなさい……
でも、夏樹さんへのプレゼントを考えてたなんて言えないっ!
だって、サプライズにしたいし!!
悪い事をしているわけではないにしても、隠し事をしている気まずさから雪夜が俯 くと、夏樹がポンポンと頭を撫でてくれた。
いや……今のは別に、撫でてって催促したわけじゃないんですよ!?
夏樹さんがポンポンしてくれるのは好きだからいいんですけどね!?
夏樹はクセなのか、よく雪夜の頭を撫でてくれる。
子ども扱いされているような気もするが、大きくて温かい夏樹の手で撫でられると、なんだか落ち着く。
だけど、今のは何だか自分から頭を差し出したみたいになってしまって……
嬉しいやら恥ずかしいやらで、ますます顔があげられなくなって、夏樹の肩に軽く額を押し付けた――
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