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夜明けの星 1-8(夏樹)
「ところで、まだ来ねぇの?何かお前の言い方だと、呼べばすぐ来るって感じだったけど?」
夏樹は、急に割り込んで来た斎 たちを訝しげに見ているリーダー?に話しかけた。
この場に残っているのは、夏樹、斎、隆 の3人と、雪夜たちに絡んできていたやつらだけだ。
「お、おうっ!もうすぐ来るっ!!」
「まぁいいけど……俺らそこらの店で呑んでるから、来たら呼んで?」
「っざけんなよっ!!すぐ来るっつってんだろっ!!」
「俺らおっさんだから、寒さに弱いんだよな~……」
「いや、今日はそんな寒くねぇだろっ!?すぐ来るから大人しく待っとけっ!!」
軽口を叩く夏樹に、リーダー?がムキになって返して来る。
反応が面白いので、ついついからかいたくなる。
夏樹は笑いを堪えながら隣の斎を見た。
「斎さん、もうしばらくかかりそうですけど、大丈夫ですか?今仕事中なんじゃ……」
裕也たちまで近くにいたということは、この辺りで何かをしていたということだ。
「ん?あぁ、大丈夫ですよ。ちょっと人探しと聞き込みをしていたんですが、どうやらナツの話を聞く限り、今から来るっていうのが私が探している人物かもしくはその仲間……だと思うんですよね」
「そうなんですか?」
「まぁ、話してみればわかります。たぶん」
「へぇ……もしかしてそれって俺に関係してます?」
「え?あぁ、いや、ナツだけじゃないですよ」
「そうですか……」
ってことは、やっぱり俺にも関係してるってことか……
「ナツは何が気になってるんですか?」
「いや、あいつらが雪夜たちに絡んだのが、偶然なのかそれとも――……」
その時、バイクが数台近づいてくる音がした。
***
「来た!!」
リーダー?が嬉しそうにバイクに近づいて行ったが、バイクから降りてきた男に思いっきり殴られて地面に蹲った。
「おや?どうやらお叱りを受けてるみたいですね」
斎が鼻で笑いながら呟く。
「どいつだ?俺を呼びだせって言ったバカは!」
リーダー?を殴った男がヘルメットを取って一応若者たちよりはマシな怒鳴り声でこちらを睨みつけた。
その後ろに、同じくバイクで駆け付けたお仲間が6~7人。
何だよ、少ねぇなぁ……どうせならもっと連れてこいよ……
とりあえず、こいつがリーダーか?それにしては迫力に欠けるけど……
「俺だよ」
夏樹が軽く手を振った。
「ぁあ゛?お前かっ!」
「だから、俺だっつってんだろ。もうちょっとこっち来いよ。顔見せろ」
顔がはっきり見えないので、夏樹がリーダーを手招きした。
「てめぇっ……何様のつもりだっ!?」
「いいから、来いっつってんだよっ!!」
夏樹が少し声を荒げると、リーダーが若干怯んだ。
「……な、何でてめぇに指図されなきゃいけねぇんだっ!そっちが来いよっ!!」
「……お前が来い……」
尚も頑張って言い返して来るリーダーに、斎が静かに命令した。
怒鳴ったわけではなく、ただポツリと呟いただけなのだが、不思議とよく通る声で有無を言わせない迫力がある。
あ~らら、斎さんを怒らせちゃった。
「……っ!!くそっ!!何なんだよおっさん!!」
リーダーは完全に気圧 されてたが、それを周囲に悟られないように、一応強がりながら近づいてきた。
「……斎さん、どうですか?」
「ん~……いや、実は探している人物の顔は知らないんです。だから情報を集めてたんですけど……君、名前は?」
「なんでお前に言わなきゃいけねぇんだよ!?」
「名前ないの?」
「あるわっ!!俺の名前はなぁ、白季司 だ!」
「白季 ?」
「そぉ~だ!!白季組の組長は俺の親父だっ!!」
リーダーは意外とあっさりと名前を答えた。
勝ち誇ったように叫んだ自称白季司を見て、夏樹は軽くため息を吐いた――
誰だよお前……
***
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