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夜明けの星 1.5-4(雪夜)

 ――このままじゃダメだっ!  雪夜は膝の上で拳を握りしめた。 「っあの、本当にごみゅっ――!?」 「ゆ~きや?」  顔を上げて夏樹に謝ろうとした雪夜の頬を夏樹が指でむにっと挟んできた。  あ……あれ?夏樹さんいつのまに……  雪夜は、てっきり夏樹はリビングから出て行こうとしているのだと思っていたので、目の前にいるのを見て少し驚いた。  夏樹が、そんな雪夜を見てふっと笑う。   「ま~た一人で暴走してるんでしょ?ほら、何考えてたのか全部言ってごらん?」 「え……あの……――」  夏樹に促されるまま、考えていたことを全部吐き出した。  話ながら自分が情けなくて泣きそうになったけれど、何とか堪えた。  話を聞き終わると夏樹は雪夜の頬をそっと撫でて、(うなじ)に手を当てグイッと胸元に抱き寄せてくれた。 「うん、そっか。あのね、謝るのは俺の方だよ。ごめんね」 「っなんで夏樹さんが謝るんですか!?」 「俺が機嫌が悪かったから、怒ってるって思ったんでしょ?」 「えっと……最初はそうだったけど、でも、それは勘違いで、だけど俺が勝手に話しちゃったのは本当だし……」 「うん、だからね、俺の家のことは俺もあの二人には話しておかなきゃって思ってたから、いいんだよ。でも俺が一言、雪夜からあの二人に伝えておいてって言っておけば良かったよね、ごめんね」 「夏樹さんがそう思っていたとしても、俺は夏樹さんに言われるまで話すべきじゃなかったです……」 「ん~……他の人に話す場合はそうかもしれないけど、でもほら、あの二人は雪夜の親友で保護者みたいなもんだし。俺もあの二人になら雪夜から話すだろうから俺から言わなくてもいいかなって思ってたから。それにね、話されたくないことならちゃんと先に、誰にも言わないでって言うから大丈夫だよ。雪夜は俺が誰にも言わないでって言うことは言わないでしょ?」 「それはもちろんですっ!」 「なら、いいよ。はい、この話はもうおしまい!」  夏樹が雪夜の背中をポンポンと軽く叩いた。 「……」  え、本当にこれでおしまいにしちゃっていいの?何だか俺が悪いのに夏樹さんが悪いってことになってない?だいたい、夏樹さんが謝るのはおかしくない?  俺がちゃんと考えずに話しちゃったからこうなったわけで……  結局いつもこうだ。  俺が何かやらかしても、俺が悪くても、全部夏樹さんが自分のせいにして許してくれて、俺はそれに甘えてばかりで……  う゛~~~~……えっと、だから…… 「納得できない?」  まだモヤモヤして、でも自分の気持ちが整理出来なくて唸っていると、困ったような顔で雪夜を覗き込んでくる夏樹と目があった――…… ***

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