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夜明けの星 2-33(夏樹)
雪夜の呼吸が穏やかになってきたのを確認して、ほっと安堵する。
いつからいたんだろう……
俺が目を離してる間だから……たぶん5分間くらいかな?
雪夜を置いて出て来たのが心配だったのでしょっちゅう振り返って中の様子を気にはしていた。
なんであんな寒いところで座り込んでたんだ……風邪引いちゃうじゃないか……っ!
って、俺がテラスに行ったせいだよな。
そこまで来てたなら声かけてくれれば良かったのに……
夏樹が、雪夜に時間通り薬を飲ませたり、外に出る時に過ぎるくらい暖かくしていたのは、咳をするとこうなるからだ。
だいぶ緩和されていたとは言え、着水時の衝撃はそれなりにあった。
安静にしていれば一ヶ月もあれば治っている程度ではあったが、あくまで安静にしていれば……だ。
入院中の雪夜はトラウマのせいでしょっちゅうパニック状態になっていたので全然安静に出来ず、むしろ身体に負担がかかってしまっていたため、まだ治りきっていない。
入院中は薬のおかげで痛みは軽減されていたけれど、痛み止めが切れると今のように息をするのも苦しそうだった。
なるべく興奮させない、激しい運動はさせない、大声を出させない等々……退院時、医師から注意されていたことは多い。
他にも、咳やくしゃみは地味に身体に響くのでなるべくさせないように気を付けていた。
それからもう一つ。
特に医師に釘を刺されたのが……性行為について。
セックスはもちろん自慰行為もイク時に身体に力が入るので、治るまでは控えるようにと言われた。
そのせいで、ここしばらくはキスもちゃんと出来ていない。
軽いキスなら大丈夫だけれど、舌を絡ませるようなキスをすると雪夜が咳き込むし、何より……雪夜は感度が良すぎるのでキスだけでもイってしまう。(そういう身体にしたのは俺だけど……)
まぁ、そこは俺が加減をすればいいだけなんだけど……俺だってずっと禁欲生活になってるわけで……一度キスをしてしまうと加減が出来なくなるかもしれない。
だから、したくなった時はなるべく頬や額に軽めにするようにしていた。
それなのに……
いざ二人っきりになると……今まで我慢していた分、煩悩に負けそうになる。
テラスで頭を冷やしながらも、散歩ができるくらい回復してきているのだから、もうそろそろキスくらいしてもいいかなとチラッと考えていた。
退院してからは、比較的落ち着いていたし安静にできていた。
おかげで、食事量も増えて来たし、喋る時の声も少しハリが出て来た。
体調管理に気を付けていたせいか、ここに来てからあまり具合が悪くなっていなかったので、ちょっと楽観的になっていたのだと思う。
でも、この様子じゃまだ……
「やっぱり、まだ無理だな……」
雪夜が咳込んでいるところを見た瞬間、一気に冷静になって欲求不満もどこかに飛んでいた。
残念だけど……お楽しみはまた今度……ね。
薬が効いて眠っている雪夜を抱きしめたまま、自分もソファーに横になった。
***
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