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夜明けの星 2-35(雪夜)

「あのね、病院にいた時は不安定だったからお医者さんに言われたこととかほとんど覚えてないと思うけど、雪夜の具合が良くなるまでは、えろいことは禁止って言われてるんだよね」  夏樹が困ったような表情で雪夜を見た。 「え……えろっ……!?……へっ?」  なんで急にそんな話に……!? 「さっき咳が出て苦しくなったでしょ?」 「あ……はい。なんか咳しただけなのにめちゃくちゃ痛くて……息が出来なくて……」  そうだ、俺咳が出て苦しくなって薬飲んで…… 「うん、それは安静にしてたら治るらしいんだけど、っていうか、安静にしてるしかないんだけどね。まぁ、そんな感じだから、それが治るまではえっちなことは出来ないってこと」 「なるほ……ど……?」  だから自制しなきゃって言ってたのか……  あれ……?じゃあ…… 「もしかして、だから最近キスしてくれないんですか?」 「そういうことだね」 「え……キスも……ダメ……?」  チラッと夏樹の顔を見上げると、夏樹の手が目を覆ってきた。 「ん゛~~~……雪夜、お願いだから煽らないでくれる?俺も我慢してるんだから」 「だ、だって……キスくらいなら……」  なんでキスまでダメなの?  えっちが出来ないのはわかるけど、キスまでダメな理由がわからない。 「なんでって……雪夜、自分が感じやすい身体してるってこと忘れちゃった?」  そう言うと、夏樹が服の中に手を突っ込んで雪夜の背筋を指でスッとなぞった。 「へ?……ふぁっ……ぅっ!?」  軽く撫でられただけなのにゾクゾクして思わず声が漏れた……と同時に、背筋に鋭い痛みが走って小さく呻いた。 「ほらね?感じた時に力が入っちゃうでしょ?力が入るとさっきの咳をした時みたいに身体中が痛くなるからキスも無理なんだよ」  夏樹が、もうしないと言うようにパッと両手を挙げた。 「ぅ~……でも……ちょっとくらい……して……ほしい……」 「んん゛!?ん~~……ちょっとくらい、と言われても……雪夜は感度良すぎるから……それに雪夜キスだけでもイっちゃうし」 「えっ!?そ、それは……夏樹さんが……えろいキスをしなきゃいいと思いますっ!!」  だって、普段も頬や額にはしてくれてたけど、別にそんなに、か、感じなかったし、だからきっと俺が感度良すぎるんじゃなくて、夏樹さんのキスがえろいから……感じちゃうわけで……  つまり、夏樹さんが加減してくれればいいってことじゃないですか!? 「ぅ……そうくるか……!まぁそうなんだけど……えろくないキスねぇ……」  唸りながら呟いた夏樹が、前髪を掻き上げて天を見上げた。 「……~~~っわかった。それじゃちょっとだけね?出来る限り善処するけど、無理そうだったらすぐにやめるからね?」 「はい!」 「……まったく……恋人にえろくないキスしろって無茶ぶりするの雪夜くらいだと思うよ?」  夏樹が苦笑しながら雪夜の顎に指をかけた―― ***

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