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夜明けの星 2.5-2(夏樹)

 その後、雪夜はいつものように熱が出て、翌日の夜まで爆睡していた。  熱自体はそんなに高くなかったのだが、あまりの爆睡具合に、もしかして早速何かトラウマでも出たのかと心配して思わず斎に電話してしまった……  駆けつけた斎が「うん、見事に爆睡してんな。ここに戻って来て安心したんだろ。起きるまで寝かしとけ!」と言い残して帰っていったので、ひとまずほっとしたけれど……  それだけ疲れてたってことだよな。  ちょっとはしゃがせ過ぎちゃったか……  でもまぁ……雪夜のバースデーパーティーなんだから、主役がはしゃがないでどうする。  雪夜は、最初は戸惑って夏樹の傍にいたいとか可愛いことを言っていたけれど、慣れてからはほとんど夏樹の傍になどいなかった。  療養中、兄さん連中が別荘に入れ替わりで来てくれていたのは、人見知りの雪夜にとってはある意味人付き合いの練習になって良かったのではないかと思う。俺としてはちょっと淋しいけど。  少しずつ……他人と関わっていければいい……    俺としてはちょっと淋しいけどっ!! *** 「……?」  うとうとしていた夏樹は、雪夜に頬を叩かれて目が覚めた。 「ん~?雪夜ぁ~~痛いよ……なぁに?ようやく起きたの?お寝坊さん」 「ん~~……」  寝惚け眼の雪夜が夏樹の頬をペチペチと叩いたりつねったりしてくる。  その手を掴んで手のひらに口付けると雪夜を抱き寄せた。 「こ~ら、痛いって。どしたの?お腹空いた?」 「ほんもの?」 「本物だよ。なに?怖い夢でも見たの?」 「よかった……」  ほっとした顔で微笑むと、雪夜がまた目を閉じた。 「どんな夢見たの?雪夜?……って、また寝るの!?お~い、せめて何か食べてから寝ない?薬も飲めてないし」 「ぅ~……いらない……だるい……」 「わかった、薬だけでいいから飲もう。水分補給もしなきゃだし。おいで」  雪夜を抱き起して何とか薬を飲ませるとまたベッドに寝かせた。  検温して雪夜の額に手を当てる。 「熱は下がってるけど……まだだるい?吐きそう?」 「ん~~……だるい……だけ」 「そか。ごめんね、もう寝ていいよ」 「ん……なつきさん……」 「なぁに?」 「ぎゅってして?」 「いいよ~。はい、ぎゅう~~~っ!」  寝惚けている時に甘えて来るのはいつものことなので、ちょっとふざけてわざと少し強めに抱きしめた。  雪夜はそんな夏樹の胸元にグリグリと顔を擦り付け、 「ふふ……なつきさんのにおい……しゅ……き……」  と、むにゃむにゃ言いながら眠りについた。 「んん゛!?」  はいどうも!毎度おなじみの煽るだけ煽って放置ね!!  はい自爆!俺どんまい!!  くそっ、油断してた……っ! 「~~~~~~……っ」  夏樹は雪夜を起こさないようにゆっくりと息を吐き出した。  はは……俺雪夜と付き合い始めてからすごい我慢強くなった気がする……  それにしても……何の夢見てたんだろ……?  そんなにうなされているようには見えなかったんだけど……ってことは怖い夢じゃなかったってことかな?  俺のニセモノでも出て来たのか?  え、それって怖くない?  まぁ……雪夜が怖くなかったなら別にいいんだけど……  ところで、俺の匂いが好きって?  俺も雪夜の匂い好きだけど、雪夜がこの家に帰ってきてすぐ眠れたのってもしかして俺の匂いのせい?  別荘よりこの家の方が俺の匂いがするってことか……そりゃまぁ、たまにしか行かない別荘に俺の匂いがするわけないけど……俺の匂い……ねぇ……そんなに家の中に匂い残ってるかなぁ……?――   「……寝よ」    適当に思考を巡らせている間にすっかりので、雪夜の頭に口付けて、軽く抱きしめながら目を閉じた。 ***

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