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夜明けの星 2.5-4(夏樹)

 酔っ払っている雪夜は、積極的。  寝惚けている時や不安定になっている時も素直で積極的だけど、酔っ払っている時は特に……エロ方面に積極的になるらしい。  エロ可愛い雪夜……大いに結構。ぶっちゃけ最高です。  俺もそろそろシたいと思ってたところだし?  ただ……数か月ぶりだし、どうせなら素面(しらふ)状態の雪夜を抱きたい。    最初から積極的なのもいいけど、恥じらって声を我慢してる雪夜が蕩けて来て抑えられなくなる瞬間がそそられるんだよな~……  それに……  もう俺わかってる。  酔ってるってことは……  どうせ途中で寝ちゃうオチだろ!?  雪夜の誘いにのっても俺放置されるだけだし!?  というわけで……雪夜の酒が抜けるか寝落ちするまで我慢大会が始まった。 *** 「なつきさぁん……まぁだ?」 「ん~まだだよ~。はい、水飲んで~?」  水で薄めつつ酒が抜けるのをテレビでも観ながら待つことにしたのだが、膝の上に乗って来て顔の前で数秒ごとにまだかと聞かれると、さすがに返事をするのが面倒になってくる。  別に相手をするのがイヤだとか、ウザいだとか、そんなことは全然ない。  むしろ可愛いですよ?ええ、それはもう……返事をするよりも押し倒したくなる程にっ!?  真っ赤に火照った頬に潤んだ瞳で見つめて来る可愛い恋人からキスをせがまれて、イヤなわけがないっ!!  けど、今キスしちゃうとキスだけで済まないからっ!!  自滅回避のために頑張れ俺! 「むぅ~……けちぃ~!」  上目遣いで口唇を尖らせる雪夜に、ちょっとムラッとした。 「ケチ……ねぇ……?じゃあ、雪夜の方からその気にさせてごらん?」 「おれから?」 「したいんでしょ?」  夏樹は、首を傾げる雪夜の口唇を人さし指ですっと撫でて、その指を自分の口唇に軽く当てた。 「そのき~……?ぅ~~ん……あっ!……なつきさんは~、おれとちゅぅしたくな~る!」  ちょっと考えていた雪夜が、夏樹の顔の前で指をクルクル回し始めた。 「……んん?雪夜さん、何やってんの?」 「いまおまじないしてるの!なつきさんは、しぃ~!!」  雪夜が口唇の前で人さし指を立てた。 「ぶふっ!おまじないって……そう来たか~……」  自分からしてくる気はないんだ?  あ~でもそうか。俺をその気にさせるなら、俺からしたくなるようにしなきゃいけないってことだから、あながち間違いではないな…… 「あ、らめですぉ!ちゃんとおれのめみて!!」  思わず下を向いて吹き出した夏樹の顔を、雪夜がグイッと上に向けた。  俺の目を見られる時点で……素面(しらふ)じゃないんだよな~……   「はいはい。じゃあ、おまじないいっぱいかけてみて?そのうちにかかるかもよ?」  色気のないおまじないのやり口に笑ってしまうが、真剣な顔でかける雪夜が可愛い。 「いっぱい?ん~……なつきさんは~おれをすきにな~る!」 「……ん?あ、雪夜、それは無理だな」 「……っえ!?……なん……なんで……っ……むり?」  さっきまでふにゃふにゃしていた雪夜の表情が固まった。  夏樹は、今にも泣きそうな雪夜の頬を撫でながら、優しく微笑んだ。 「うん、ごめんね。俺ね、目の前の子のこと、もうとっくにを通り越してになってるし、むしろから」 「……え?」 「だから、今更また、ただのに戻るのは難しいかな~」  そもそも、なんでそんなおまじないかけてるの?  俺、毎日のように愛してるって言ってると思うんだけどなぁ~?  むしろ、俺がそのおまじないしたいんですけど……雪夜は俺を好きにな~る!って…… 「……へへ……」 「ん?」 「……ふふ……うれし~……」  雪夜が、両手で口元を押さえると、ちょっと(うつむ)いて照れ笑いをしながら呟いた。  くっ、可愛っ!!  って、あれ?嬉しいなら今のはもっとほら……抱きついてくるところじゃないの?  さっきまでグイグイきていたのに、急に普段のような反応に戻ったので夏樹の方が戸惑ってしまう。  あわよくば今ので雪夜からしてくれるのを期待していた夏樹は、予想していた反応と違うのでちょっと拍子抜けした。  いや、今の言葉は本心なんだけどね?  それにしても、すぐに寝ると思ったのに結構頑張ってるな~。  1缶飲んだんだよね?  ん?待てよ……昼に買ってきたんだっけ?  酒は飲んだんだ?  まさか……―― ***

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