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夜明けの星 6.5-5(夏樹)
「雪坊、ご飯もちゃんと食べられるようになったんだって?晩ご飯もうちで食べていくかい?」
「ごは~ん?……なつきさん、も、いっしょ?」
「もちろんさ。凜坊も斎たちも一緒だよ」
「……り~ぼ?」
「え?ご飯!?」
いや、愛ちゃん!?そんなこと俺聞いてませんけど!?
ちょっと顔出したら帰るつもりだったんだけど!?
「あぁ、凜坊っていうのは、夏樹 のことだよ。【夏樹 凜】って言う名前だから、私は凜坊って呼んでるんだよ」
「り~ぼ~!」
こらこら、雪夜まで『坊』つけなくていいから!!呼ぶなら『凜』だけでいいから!!
っていうか、愛ちゃん、俺の話し聞いてる!?
「あの、愛ちゃん!?ご飯なんて俺聞いてな……」
「そうそう、雪坊上手に言えたね~」
「あい!」
ぅおいいいい!!
夏樹が話しかけようとしても、愛華に完全に無視されてしまう。
「うんうん、俺たちも食って帰るから一緒に食おうな」
「ここのご飯も美味しいんだよね~!」
「ちょ、斎さん、裕也さん!?」
二人もグルか!!
くっそぉ~!最初から愛ちゃんに言いくるめられてたな!?
「いや、でも……愛ちゃん?雪夜は誰のご飯でも食べられるわけじゃなくて……」
白季組の料理長は、元々隆の後輩で、隆にみっちりと鍛えられているので料理の腕はいい。
だが、いくら美味しくても、今の雪夜は何でも食べられるわけじゃない。
病院食を食べてくれなかったように、夏樹、斎、隆の作ったもの意外は食べようとしないのだ。
おやつは市販の物でも気にせずに食べてくれるんだけどなぁ~……
「ああ、ナツ。心配すんな、タカも来てるから、雪ちゃんの好きなやつを作ってくれるよ」
「はあ!?隆さんも!?え、店は!?定休日じゃないでしょう!?」
「今日は臨時休業にしたって言ってたぞ?」
「そんな簡単に……」
「最初は俺が厨房に入るつもりだったけど、タカが来るっつーから任せた」
そりゃまぁ、隆さんの店は個人経営だから、いつ休もうが隆さん次第だけど……
あ!もしかしてさっき裕也さんが雪夜のジュースを取りに行ってくれたのって、隆さんが厨房に来てるから様子を見に行ってたってことか!?
夏樹はふと嫌な予感がして、恐る恐る斎を見た。
「あの~……もしかして、他の兄さんたちも……来ます……か?」
「ん?あ~、浩二は仕事が済んだら来るってよ。玲人 とアキはもうちょっとしたら来るんじゃね?」
やっぱりぃいいいいいいい!!!!
兄さん連中が勢ぞろいするのかよ!!
「菜穂子たちも呼ぼうかと思ったけど、まぁ……菜穂子たちはまた今度、佐々木 たちと一緒に別荘の方に呼んだ方がいいかなと思ってな」
「それがいいと思います!!」
これ以上人数増えなくていいからっ!!
***
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