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夜明けの星 7.5-9(夏樹)
お昼寝の後、またテーブルや料理をセッティングし直して、パーティーの続きをした。
クリスマスパーティーの目玉は、やっぱりプレゼント交換とサンタでしょ!ということで、兄さん連中がくじ引きをして、サンタ役は浩二に決まった。
サンタ役と言っても、普通にサンタの恰好をするだけだ。
みんなそれぞれご機嫌なカチューシャを付けているし、今更それ必要か?と思ったが、兄さん連中が盛り上がっていたので夏樹は黙っていた。
まぁ、雪夜はちゃんとサンタを見るのも初めてだし、雪夜が怖がらなければいいか。
浩二が準備をしている間、みんなもそれぞれにプレゼントを用意してプレゼント交換の準備をする。
夏樹は自分で買いに行けないので、学島が用事で街に下りていた時についでに夏樹と雪夜の分も買って来てもらった。
プレゼント交換は特定の人にあげるわけじゃないので、兄さん連中もネタに走る場合が多い。
だから、夏樹もそのつもりで、プレゼントを選んでいる。
「雪夜の分も俺が持ってるからね」
夏樹はラッピングされたプレゼントをこっそりと雪夜にだけ見せた。
「なぁに?」
「あとでプレゼント交換するからね。それ用のプレゼント」
簡単にプレゼント交換の説明をする。
「わかった?」
「ゆきやも、もらえるの?」
「うん、絶対にみんな一つはもらえるんだけど、誰のプレゼントをもらえるかはわからないんだよ」
「……わかった!」
雪夜がちょっと首を傾げながら、頷いた。
わかってないけど、一応わかったような気がする……の顔だな。
「それじゃあ、なるべく他の人に見せないようにしてプレゼント持ってきてくださ~い」
「は~い」
菜穂子の呼びかけに、みんながバラバラにプレゼントを持って行き、大きな袋の中に突っ込んでいく。
プレゼントは一旦集められて、交換を始める時に菜穂子が適当に渡していくのだ。
それぞれが自分のプレゼントを持った状態で始めると、どれが誰のプレゼントかわかってしまうので、プレゼントを回す時に面白みがないからだとか。
まぁたしかに、裕也さんや浩二さんのプレゼントはみんな絶対に避けたいだろうし、逆に斎さんや晃さんのプレゼントはネタでもわりといいのが入っている可能性が高いから、みんなが狙ってるもんな~……
***
「サンタ遅いな」
プレゼント交換は浩二サンタが来たら始めることになっているのだが、なぜかなかなか来ない。
浩二は母屋の方で着替えている。
と言っても、サンタの衣装は服の上から着ればいいだけだ。
数分で着替えられるはずなのに……何かあったのか?と他の兄さんらもざわざわし始めた。
「さんたさん?」
「うん、サンタさんが来るはずなんだけどね、なかなか来ないねぇ」
「……みんな、ねてないよ?」
「ん?あぁ、え~と……うん、ホントのサンタさんは寝てる間に来てくれるんだけど……」
クリスマスを知らない雪夜は、菜穂子にクリスマスの絵本を読んでもらってクリスマスのことを知った。
その時に、「サンタは寝ている間に煙突から入って来てプレゼントを置いてくれる」ということを教えてもらったらしい。
「あ、わかった!えんとつがない!」
「大丈夫だよ。煙突がなくてもサンタさんは来てくれるからね」
「え……?」
なぜか雪夜がショックを受けた顔をした瞬間、足音がして扉が開いた。
ようやく来たのか……
と安堵した次の瞬間、雪夜以外の全員が笑顔のまま固まった。
「ふぉ、ふぉ、ふぉ!めり~くりすま~す!」
入って来たサンタは……どう見ても浩二ではなかった――……
***
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