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夜明けの星 7.5-13(夏樹)

 結局、みんなの期待に満ちた視線に何かを感じ取ったのか、雪夜は朝ご飯を食べて薬を飲むと、プレゼントを開けていくことにしたらしい。  が、雪夜は不器用な指先でテープをひとつひとつ剥がそうと奮闘していたので、ひとつのプレゼントを開けるのにめちゃくちゃ時間がかかっていた。 「え~と……雪夜?包んである紙は破いちゃってもいいんだよ?どうせ捨てるんだし」 「そうだぞ~?もっとビリビリってやっちゃっていいぞ?」 「ん~ん!」  夏樹たちが破いていいよと言っても、雪夜は首を横に振って必死にテープを剝がそうとしていた。  その様子を見ていた菜穂子が、 「ナツ君、ドライヤー持ってきて」  と耳打ちしてきた。 「え?」 「雪ちゃんは、包装紙もキレイに残しておきたいんだよ。だからテープをキレイに剥がそうとしてるの」 「え、包装紙を?こんなの残しておいてどうするんですか?」  夏樹は首を傾げつつ菜穂子にドライヤーを渡した。   「包装紙もクリスマス仕様で可愛いし、わりと包装紙をキレイに残しておきたいっていう人多いよ?後で切って折り紙にも出来るし、いろいろ使い道はあるからね」 「「へぇ~……?」」  夏樹と兄さん連中が一斉に目を丸くして菜穂子を見た。  包装紙なんて、ただ商品を包んでいるだけの紙だと思っていたので、何も気にせずにビリビリ破いてすぐに捨てていた夏樹たちにとっては、『キレイに残しておきたい』という考えはよくわからない。 「……うん、まぁ……男の人はそんなの残しておく人少ないかもね」  菜穂子が苦笑いをしながら、雪夜に手を伸ばした。 「雪ちゃん、ちょっと貸してごらん?これはね、こうやってドライヤーでちょっと温めるとね……」 「なあに?」 「あのね、こうやればテープがキレイに剝がれやすくなるんだよ~」 「なんで?」 「あ~……えっと、それはね、そこにいる暇そうなお兄さんたちが教えてくれるよ~!」 「「え゛っ!?」」  菜穂子からの唐突な丸投げに兄さん連中が焦った。  そもそもキレイに剥がそうとしたことなどないのに、急にそんなことを言われても…… 「なんで~?」  雪夜がじ~っと兄さん連中を見つめる。 「え~っと……テープをキレイに剥がすためにドライヤーで温める理由は……ユウ!頼んだ!」 「え~、僕~?仕方ないなぁ……テープにはね?――」  裕也が雪夜に説明をしてくれたのだが、専門用語が多くて雪夜が困惑気味に首を傾げた。 「お前、専門用語多すぎ。雪ちゃんの頭の上にはてなマークが飛びまくりじゃねぇか!」 「今のはわかりにくいだろ」 「もうちょっと簡単に……」 「もぅ!だったらみんなが説明してあげればいいでしょ~!?」  みんなにツッコまれて、裕也がへそを曲げる。 「やれやれ……雪夜、あのな?シールっていうのはベタベタしてるからペタッてひっつくだろ?そのベタベタが、ドライヤーとかで温めると――……」 「お~!しゅごいね~!」  結局、押し付け合っている兄さん連中を横目に、佐々木と相川がわかりやすく雪夜に説明してくれた。  ちなみに、その頃夏樹は……雪夜をみんなに任せて、菜穂子と斎と一緒にひたすらテープを剥がしていた……    くそっ!テープ貼りすぎだろっ!?  いつになったらプレゼントに辿り着くんだ……? ***  

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