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夜明けの星 8.5-19(夏樹)※
でもねぇ……
「雪夜、あのね……」
雪夜が俺に抱かれたいと思ってくれるのは嬉しいよ?
俺ももちろん、抱きたい!!……けど!!
「数日前に軽くイっただけで翌日大変なことになったの忘れちゃった?」
「……わ、忘れてない……です……」
数日前、夏樹がキスの加減をちょっと間違えたせいで軽くイッてしまった雪夜は、翌日から筋肉痛でしばらく唸っていた。
そりゃまぁ、仕方ないと言えば仕方ないけど、あれくらいで全身筋肉痛になるような状態なんだから……セックスなんてまだまだ無理だろ……
「はい、泡流すよ~」
「は、はーい!……ぷはっ!……あ、あの、でもでも、き、筋肉痛は病気じゃないですし……」
諦めたと思ったのに、雪夜はプルプルと顔を撫でると意外にもまだ食い下がって来た。
え、そんなにシたいの!?
「う~ん、まぁ、そうだけど、筋肉痛だけじゃなくて疲労もね……?雪夜は忘れてるみたいだけど、えっちするのって結構身体に負担かかるからね?」
「ええ!?そ、そうなんですか!?」
「そうなんです」
「ぅわぁ~~~……す、すみません……俺自分のことばっかり……」
「ん?あぁ、いや負担がかかるのは俺じゃなくて雪夜の身体だよ?元気な時でも翌日は辛かったみたいだしね」
まぁ、俺がそのことに気付いたのは同棲を始めてからなんだけどね……
週一しか会っていなかった時は……翌日に連絡して様子を聞くと雪夜からは「全然大丈夫です」という返事が返って来ていたので、それを信じて疑わなかった。
夏樹の家を出た後、具合が悪くなって途中で電車を降りていただとか、翌日は夕方まで寝込んでいただとか……雪夜の身体にどれだけ負担がかかっていたのかを夏樹が知ったのは同棲を始めてしばらくしてからだ。
それからは、雪夜の体調を考えてなるべく優しく抱くように気を付けるようになった。
と言っても、たまに加減ができなくなるので、そういう時は翌日はデロッデロに甘やかすことで許してもらってたけど……
「そかぁ……えっちって大変なんですね……」
雪夜が真剣な顔で呟いたので、夏樹は吹き出しそうになるのを必死で堪えた。
あ~もう……いちいち可愛い!!
「んん゛、そうだね、大変だから……ちょっとずつ慣れていこうか」
夏樹は笑いを堪えつつボディソープを両手に取ると、雪夜の首筋に触れた。
「ぇ?……っ!ななな夏樹さん!?」
「なぁに?」
「……っぁ!」
ボディソープでぬるぬるになった指を首筋から鎖骨に滑らせそのまま胸の突起を掠って下に滑らせていく。
「あの、あの、俺、身体は自分で洗いま……っぁん!」
「遠慮しなくてもいいよ」
のけ反った雪夜を背後から支えつつ、熱くなった耳元に囁く。
「ふぁっ!……ええええ遠慮じゃなくて、あの……っていうか、あ、そそそうだ!身体はもう洗ってます!あの、お……お尻を洗う前に……っぁん……だ、だから、あの……ちょっ……んんっ……!!」
「ん~?何か言った?声が小さくて聞き取れないな~」
別に夏樹は大したことはしていない。
普通にソープをつけた手で軽く身体を撫でているだけだ。
ただ、夏樹が少し指を滑らせる度に雪夜が敏感に反応して夏樹の手から逃れようと身体をくねらせるせいで、結果的に全身撫で回しているような状態になっているのだ。
「~~~っ……だから、もう洗いましたってばぁああっ!!ひゃんっ!」
雪夜がくるりと向きを変えて夏樹の首にしがみついて来た。
触れられるなら前よりも後ろの方がマシだと思ったのかもしれない。
でもそれ逆効果なんだよね~……
夏樹にしがみつくことで、ほぼ完勃ちしている雪夜のモノが夏樹の腹部に当たるため、少し動くと勝手に雪夜のモノが刺激される。
それに……
「もう洗ったの?ホントに~?でも、雪夜お尻洗うの途中だったんでしょ?手伝ってあげるね」
雪夜が抱きついてくれているので後ろを弄りやすい。
まぁ、どっち向きでも別に弄れるけど。
だいたい……同棲してからはずっと一緒に入っているから、基本的に俺が雪夜の後ろを洗いついでに解すのがもうデフォだったし……?
「ふぇっ!?や、あああの、そこは……じ、じぶんでやりま……っぁ……」
「はいはい、力抜いて?ダメでしょ、そんなに力入れちゃ。ちゃんと解しておかないと痛いのは雪夜だよ?」
「やっ!だ、だって、そんなところ……な、夏樹さんの指が汚れちゃいますよぉおお~~……」
「……ん?」
え、ちょっと待って……雪夜?もしかしてとは思うけど……
夏樹は嫌な予感がして、手を止めた。
「汚れないよ。そのために今洗ってるでしょ?」
「でででも、そんなところ……」
「ちなみに……雪夜?えっちってどうやるか知ってる?」
「……え?」
「ここに俺のこれツッコむんだけど……」
夏樹がトントンと軽く雪夜の蕾に触れ、反対の手で自分のモノを指差した。
夏樹の手の動きにつられて俯き、半勃ち状態の夏樹のモノを見た雪夜は……目と口をあんぐりと開けたままゆっくりと顔を上げ、夏樹の顔を見た。
「……ぇっと……冗談……」
「いや、冗談じゃなくて。本当です」
「……ふぁっ!?……え、これを!?……ふぇぇええっっ!?」
明らかに、初めて知りました!という顔で雪夜が叫んだ。
「そんなに驚かなくても……佐々木からえっちの方法聞いてるんだよね?」
「さ、佐々木はえっと、お尻をキレイにする方法を教えてくれて……」
「うん」
「後は夏樹さんに任せておけば大丈夫だって……」
「うん……んん?」
ちょっと待て佐々木ぃいいいいい!?
そんなこと聞いてねぇぞ!?
「え~と……じゃあ、雪夜はなんでお尻をキレイにするのかわからずにやってたの?」
「え?……えっと……裸になった時にここは汚いから洗っておかなきゃってことなのかなって……」
「あ~……うん……そっか……うん。まぁ……間違ってはないけど……」
裸になるのはわかってるんだ?
あれ?この間イったのは?
射精については覚えてるってこと?
あまりに記憶が断片的すぎないか!?
ちょっと待って……俺の方が混乱するわっ!!!
雪夜が一体セックスについてどれくらい覚えていて、何を忘れているのかがわからない。
恐らく、覚えていることに関しては無意識に反応できるので、先日イったことに関しては普通に受け入れられたということだろうが……
「雪夜は……えっちってどうすると思ってたの?っていうか、どこまで覚えてる?」
「……あの、えっと……は、裸で夏樹さんがギュッてしてくれて……」
「うん」
「そしたら、何かすごく気持ち良くなって、幸せだな~って……」
「う……ん?それだけ?」
「……え?あ、はい……」
待って、下半身が完全に無視されてる!!
むしろメインのはずの下半身がっ!!
雪夜、ムラムラするんでしょ!?
勃起は!?射精はどこいったの!?
えっちと射精が結びついてない!?
ある意味、処女を抱く時より難しいぞコレ!?
「な……夏樹さん?」
思わず頭を抱えた夏樹に、雪夜が心配そうに声をかけてきた。
「あの……俺……えっと……どうすれば……?」
どうすれば?それは俺が聞きたい!!
雪夜はいったい俺にどうして欲しいの!?
そんなに怯えられたら抱けないんですけど!?
やだもう……俺ちょっと泣いてもいいですか……
そんでもって、佐々木ぃ~~!!お前、あとで覚えとけよっ!?
両手で顔を覆った夏樹は、心の中で叫んだ。
***
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