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夜明けの星 8.5-21(夏樹)
「……ぁの……な、なつきさ……」
しばらくして、雪夜がモジモジしながら夏樹の腕を掴んだ。
「なぁに?」
「おれ……なんか、へん……」
雪夜がリラックスし始めた頃から、夏樹は雪夜の背中をトントンしながらそっと指を這わせていた。
触れるか触れないかのソフトタッチで、背筋から腰にかけてゆっくりと……
たいてい強い刺激に意識が向くため、同時に刺激を与えた場合、ソフトタッチのような弱い刺激には意識が向きにくい。
雪夜自身はトントンされてリラックスしているだけだと勘違いしているのだけれど、実際はトントンとソフトタッチの快感とが混ざり合っている状態なので……身体は無意識に反応する。
「どんなふうに変なの?」
「わかんないけど……なんかね……きもちわるい……」
あれ?ムラムラするとか、身体が熱いとかじゃなくて?
「え、吐きそう?」
予想外の返答に具合が悪くなったのかと焦ったが、雪夜は小さく首を横に振って股間をモジモジさせた。
あ~……
「……もしかして、ここ?」
「ひゃんっ!」
夏樹が硬くなった雪夜のモノに触れると、雪夜がピクリと跳ねた。
雪夜は浴室で夏樹が身体を洗っている時にも一度勃っていたのだが、あの時は若干パニクっていたので、恐らく自分が勃っていることに気づいていなかったのだと思う。
緊張がほぐれてきたことで、自分の身体の変化に集中できるようになってきたらしい。
「……ぁ、あの、そこさわっちゃ……っだめぇ……」
雪夜が顔を真っ赤にして、なぜか声を押し殺しながら両手で夏樹の手を押さえた。
「ん~?なんで?」
「なんか……で、でちゃいそうだから……あ……あの、と、トイレに……いきた……」
ん?あ、もしかして、尿意とこんがらがってる?
「ここで出していいよ?」
「ふぇっ!?ここって……」
「手伝ってあげようか?」
「……ぇ?……っんん!?」
夏樹は雪夜の口唇を舌でなぞると、キスをしながら押し倒した。
「ん~~!なつ……っぁ、や、ダメッ!といれぇ~~!!」
夏樹から逃れようとジタバタしている雪夜を抑え込んで額を合わせる。
「ゆ~きや。ダメじゃないよ、これは大丈夫だから。この間イったでしょ?あれと同じだよ?」
「んぇ……?で、でもなんか……でちゃう……」
うん、この間も出てたよ?
あ~、そうか……
先日キスだけでイった時は、そのまますぐに寝落ちしたので自分が射精したことに気付いてなかったらしい。
ここら辺も記憶が曖昧なのか……
う~ん……もういっそのこと保健体育の授業でもする?
「なつきさん?」
「ん?」
「あの……すみません……」
「あ、違う違う。謝らなくていいから」
夏樹が少し考え込むと雪夜が申し訳なさそうな顔になる。
「でもあの……」
「記憶のどの部分が抜けてるのかちょっと考えてただけだよ」
「……ごめんなさぃ……」
「雪夜、俺のこと好き?」
「ぇ?は、はい!好きです!大好きです!……ぁ、ぇっと……はぃ……」
雪夜が条件反射のように勢いよく答える。
言った後に恥ずかしくなったのか一気に頬が赤く染まった。
「ありがとう。俺も大好きだよ。大好きだから、雪夜のこといろいろ考えるんだよ。どうやって伝えれば思い出してくれるかなって……でもそのせいで雪夜を不安にさせちゃったらダメだよね。ごめんね」
「ちがっ、あの、そんなことは……」
「というわけで、ごちゃごちゃ考えるのは後にして、実践の続きしていこうか!」
「……ぇ?」
夏樹はにっこり笑いかけると、戸惑い顔の雪夜に口唇を重ね、雪夜の弱いところを刺激しないように軽いキスを繰り返した。
どうやらセックスに関しては記憶のピースが抜けまくって穴だらけになっているようだ。
ひとつひとつ拾って来て埋めるのは大変そうなので……今は深く考えないようにしよう。
頭では忘れていても身体は覚えているかもしれないし……実践を通して身体の方から思い出してもらうことにして……
あとは、後日、兄さん連中に保健体育の授業をしてもらおう……!
そもそも思い出してみれば、雪夜はキスだけでもすぐに蕩けてたから、セックスの半分は記憶に残っていないはずだし……ね?
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